ある日、大学からの帰り道、 どこかからこう聞こえた「汚い。なんで。」と、 俺は信じられなかった。汚いわけないだろう、 こんなにも美しいのに。 俺はこいつにそう言ってやりたかったが急に言ったら悪いだろうと思い 思うだけにとどまった。 ただし、次会った時にはこの世の美しさについて語ってやる。 なんて思いながら、家に帰った。 次の日、そいつが偶然家の前に来ていた。 今ならそばに人もいないわけだし、 この世の美しさを伝えるにはこれが手っ取り早いと思い、 そばにあったライターを取り出した。 「もえろっ」そう言いながらライターを放り投げる。 ライターは綺麗に宙を待って家に火がついた。 燃え始めた。プスプスと黒い煙が上がる。 俺はそのままそこら辺にあった俺の最高傑作が描かれたキャンバスを放り投げた。 あいつは急な出来事で驚いているようだ。 「もっと、もっと」俺はどんどん火を強くするように燃えそうなものを放り投げていく、 あっという間に一軒の家とそばにあった建物たちは燃え尽きた。 ただしこのままでは俺が危ない。 なので足元にある残った最後のキャンバスに鉛筆でこう書く、 「さようなら。」そしてもっていたライターでこの世を旅だった。
某異世界期の某赤の芸術家のお話。