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電子的質量保有アナログ日記

LOLostsigmal•Created January 5, 2024
電子的質量保有アナログ日記
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Instructions

2/23 姉さんが日記帳を買ってきた。 何故か。 ただ、確かに僕の性格と環境を鑑みても日記をつけるというのは最適な行動と言える。 これも姉さんなりの配慮なのだろうか。それともただこの日記帳のデザインが気に入っただけなのか。 2/24 今日はやけに寒い。 ラボの空調が壊れたのかとも思ったが、単に窓を開け放していただけだった。 雪が吹雪として吹き込んでおり、一部の装置が真っ白くなっている。 …明日は掃除だな… 2/25 B区画の掃除中、懐かしい物を見つけた。 母さんは捨てようとしたけど、姉さんが止めてくれて思い出の時計は回収された。 この針が27本ある時計は僕が初めて組み立てた廻想回路物だ。これを完成させた時、父さんは褒めてくれたっけ。 …いや 褒めるのにカウントされるかな? あれは… 2/26 また姉さんの部屋が一段とごちゃついた。 ただでさえ片付け下手なのに、昨日の掃除で出てきた懐かしいものたちをあらかた回収したらしい。 一応叱ったけど、多分あれは永遠に改善されないだろうな。 2/27 今日は母さんが大きな装置を組み立てるので忙しそうにしていた。 …今更ながら、僕は考えてしまう。 絵本のシベリア一家のように、家族で旅行に行ったり出来たらどれほど楽しいだろうか、と。 世間一般の家族がシベリア一家のようなら、僕の家族は特殊だということになるのだろう。 …いや 無駄に考えない方がいいか。 2/28 なんというか。 母さんの作った装置はとてつもなく大きくて、僕らを余裕で飲み込んでしまいそうな怪物のような装置が出来上がっている。 いわく、重力をエネルギーに変換する装置なんだそうだ。 オーバーヒートすると危ないから寒いうちに起動するって言ってた。 これが動くのを見るのが楽しみだ。 3/3 今のままじゃ姉さんもろとも凍って死ぬだけだ。 まだ姉さんは生きてる、どうにか… どうにかして姉さんの意識だけでも保存できれば…! 3/4 実験は失敗した。 母さんの装置は誤作動を起こし、そばに居た母さんと父さんは巻き込まれて亡くなった。 姉さんも反重力パルスから僕を庇って重体だ。 僕もまだ意識がくらくらする。 でも今は… この意識データ化がうまくいっていることを祈るしか無い。 姉さんの脳を取り出して培養液に入れるのは中々苦戦したし、気持ち悪かったけど… これで姉さんはお腹に開いた穴に苦しまなくて良くなる、って考えて… なんとか頑張った。 ベース適合処理が終わるのは3日後だ。 3/5 母さんと父さんの遺体を探しに行ってみた。 案の定、見つかったのは僕が母さんにあげた手作りのペンと、姉さんが父さんにあげた過収縮レンズルーペだけだった。 そういえば食べるものがない。 キッチンのドアも電子制御式なのでシステムが停止した今では開けられない。 レーザーカッターで開けてみようかとも思ったけど、あれは危険だから触らないでくれって母さんに言われてたんだった。 3/6 27本針の時計はぐるぐると回って、このラボの緊急事態を告げている。 4番目の針と26番目の針だけがいつも通りの動きで回っていて、他の針は全て慌ただしく動いていた。 …いや、3番目の針が静止して全く動かない。 …………姉さんの部屋にも行って、食べられるものがないか探してこようと思う。 3/7 意識データ化は成功した。 モニターに映っている文字列はまさしく姉さんだった。 姉さんいわく、「体中が錆びたロボットのような感覚で、水中にいる感じ」らしい。 …姉さんは無事だという事実だけで泣きそうになってしまった。 3/8 姉さんをラボのメインシステムに接続して、キッチンのドアを開けてもらった。 「ラボが手足みたいで楽しい」とのことだったが、あまり電力ストックがないので余計な稼働は控えてほしいと伝えた。 何はともあれ、久々の食事にありつけた。 姉さんには暇つぶしのためのチェスのプログラムをあげた。 …意外と好評だった。 3/9 これから何をすべきだろうか。 ラボの外は恐ろしいところだと母さんからよく言い聞かせられていた。出ることはやめたほうがいい。 姉さんをどうすべきか。 新しく身体を組み立てるにしても僕はただの機械研究者の子供だ。下手したら僕も死ぬことになる。 …姉さんのシステムアップロードが終わったらどうすべきか聞いてみよう。 3/23 (印刷された紙を貼ってあるようだ) <Mayoi>ねえマドイ? <Mayoi>大丈夫? <Mayoi>監視カメラから見える限りでも、随分顔色が悪いよ? <Mayoi>私のためにロボットアームを作ってくれたのは嬉しいけど… <Mayoi>マドイもちゃんと休んでね? <Mayoi>それに、日記もつけてない! <Mayoi>いっそのこと、データ上に私が書いちゃおうかな? 暇だし! <Mayoi>…まあ、履歴なんて便利なものがあるから書く意味がないのかもだけど。 <Mayoi>これは印刷してアームで日記帳に貼っとくね。 3/29 失敗作ばかりが積もっている僕のラボは、ある意味とても美しい。 4/2 やっと満足する機体が完成した。 これを… どうしよう。 迷の意識データをそのまま入れるのはあまりにもリスキーだ。 時計を解体して、中にある廻想生成グリッチメモリを入れて迷の意識データと遠隔で同期させよう。 そうすれば、万が一この機体が壊れることになっても迷にダメージはない。 …やっと、だ。 4/3 …どこだ? どこが間違っている? システムは電力不足で機能を弱めている。 迷の意識データとの意思疎通が出来なくなるのも時間の問題だ。 一刻も早く… 4/16 …クロノも同じ気分だったのだろう。 9/14 マドイは… ワガハイよりもバグバグ脳になっちゃったみたいなのだ〜! こんなにキュートでビットでハートフルな機体を作ってもらっちゃったのはいいんだけど、肝心のマドイ本人は壊れちゃってるから、今電磁極実験用ケーブルに縛り付けてるよ。 しばらくおとなしくしてもらって、休んでもらえば元のかわいいマドイに戻ると思うのだ〜!(ハート) 9/15 ありゃりゃ。マドイは… ダメだったのだ。 完全に壊れてて修理も出来ない状態なのだ。 でもだいじょーぶ! マヨヒちゃんにお任せあれ! マドイがマドイじゃなくなっても、いつか元に戻せると信じて… あの子を、人間電池に改造するのだ。 今のシステムの充電残量ではどっちも死んでしまうのだ。 ならばあの子を電池にしてでも、電力の生産に回したほうが生き残れると思うのだ。 それに… マドイは死ぬわけじゃないのだ。 …今の私も、既に意識がバグとノイズに蝕まれている状態だけど。 さらに重体のマドイを救うためなら頑張るしかないのだ! 9/19 マドイは… マドイは… もう狂ってないけど、もうマドイじゃなくなっちゃった… あの子は一体誰なのだ…? 11/23 外から、人がワガハイたちを助けに来てくれたのだ。 別に外は恐ろしくなかったのだ。 …外の人たちは… ロボットのワガハイと、血塗れで義足のヒノアを見ても拒まなかった。 外がこんないい場所だと、早く知っていればこんなことにはならなかったかもな、と強く思うのだ… …とにかく、外の人たちはワガハイたちを4月から「学園」という所に送ってくれるらしいのだ。 そこはいろんな、本当にいろんな混沌が集まっていて、ワガハイのようなロボットでも馴染める場所なんだそうだ。 楽しみ、なのだ! 今日はヒノアのヘッドセットのメンテナンスが終わったら寝るのだ〜!

Project Details

Project ID947067314
CreatedJanuary 5, 2024
Last ModifiedJanuary 5, 2024
SharedJanuary 5, 2024
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