彼は実に不思議な子だ。 私が彼に会ったときから、彼は私を見透かすような不思議な瞳を向け、美しくも催眠的な声で語り、悲しくなるような眩しい笑顔で私達を慰めてくれた。 私があのような狂行に走らなければ、彼は今でも私の隣にいただろう。それほど彼と私は仲が良かったのだ。 それ故、彼は私を止めようとした。 今。全てを見渡せるこの場所なら彼がなぜ私を止めようとしたのか理解できる。 だが、もう遅い。今更理解しても遅いのだ。 じきに私の計画は終わる。あと少しで、私のすべきことは達成されてしまうのだ。 だから、せめて最後の瞬間だけでも私の隣で… 笑っていてくれないか。 …イーズ。