作風の理解してもらうための仮プロローグ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 駅構内、とある男と俺は駅のベンチに座っていた。 俺たちはここの警備......いわゆる検問のような役割をしているのだが、人が少ない駅なのか、ここ数十分は誰もきていない。 「暇に色があったら俺はその色に染まってるだろうな」 隣に座っている男が言った。黒電話のような髪型だが、ミサイルの人ではない。 贅肉もなく、あのミサイルの人とは大違いだ、と初見で思ったのを覚えている。 「ああ、そうだな。すごく面白そうで『ピース』に入ったが、こんな暇だとは」 うんうん、と俺は頷く。ピースという秘密結社のような名前をしたものは、俺の心を彩ってくれると思ったのだ。実際は雑用や意味もない射撃訓練なんかだが。 「Once there was a way to get back homeward」 不意に、隣の男が口ずさみ始めた。何かしらの洋楽のようだ。洋楽を一切聞いていないが、どこかで聞いたことあるメロディーだ。 「なんだ? その曲」 「あ? 知らないのか。『ゴールデン・スランバー』だよ、ビートルズの」 それを言われ、納得する。いつぞやかテレビで見たバンドの特集を思い出した。そういえばこいつ、洋楽好きだったな。 「で、どういう意味だよ」 「...はぁ。洋楽は意味がわかってからが面白いのに」 ここ二ヶ月前にハマり始めたお前に言われたくない、そう内心で怒鳴った。仕方なく、睨むだけにする。 「う、ごめんよ。意味はだな......なんだっけ」 「お前が覚えてなくてどうすんだよ」 思わずツッコミを入れてしまう。そういえば、俺は英語の成績が2だったな...そう無駄なことを思い出す。もうあの頃へは戻れない。 「あ、見つけた」 そう言って、男はスマホの画面を突きつける。そこには「かつてそこには、家路となる道があった」と書かれていた。 「えっと、確かあの頃には戻れないみたいなそんな感じの意味だった気がする」 「え?」 今自分が思ったことじゃないか。洋楽も、いい歌詞用意するじゃないか、と涙を堪える。 「すいません」 突然、改札の方で声がした。古い切符を駅員に渡すスタイルの改札だ。何かトラブルでも起きたのだろう。 「はーい、今行きます」 そう言って、俺たちは声の方へ駆けて行った。そこには数時間前までいた駅員がおらず、黒いシルクハットを被った青年が立っていた。変わったヤツだな、という声を喉で抑える。 「何か御用ですか?」 「いや、お兄さんたち、僕のために尽くしてくれないかなって」 青年は不思議に微笑むと、傘を隣の男に突き出した。 次の瞬間。ぎゃっという声がして、男は自分の影に吸い込まれるように落ちて行った。反射的に俺は銃をだし、青年に向けて、躊躇せずに撃った。 青年は何かを壁にして防いだ...それは 「駅員さん」 俺はポツリと呟いた。窒息タヒしたと思しき駅員の死体が壁となっていたのだ。憤りが体を巡る。 そうしているうちに、体が落ちる感覚を覚えた。 ◇ 呆れるなぁ、そう呟いた。僕は駅員のタヒ体を放ってニヤッとしてホームの方へ歩いて行った。あの二人のタヒ体は...持っておくか。 電車が到着する。ポーカーフェイスでその電車へ乗り込んで座った。次は、どこへ行こうか。
音楽 Unravel 原作(この作品はオリジナル) @Kira_0409 様