「これって・・・」 「嘘だろ・・・」 「団長がいないってぇのに・・・。」 目の前に並ぶ数百体の敵。 それは・・・自分達のクローンだった。 〜数時間前に遡る〜 「だるぅ・・・」 俺こと赤坂紫風は、大量の方程式の問題を解いていた。 もちろん大学の課題だ。 「ここはこうやって計算すると楽ですよ。」 ヨルさんが横から教えてくれる。 「なるほど・・・理屈がよくわかんないと理解もしにくいな・・・」 「わからない・・・というのが私には分かりませんね・・・。」 そういって苦い顔をする。 今日は団長が出張だ。 上層部も団長と一緒にほぼほぼが出て行っている。 つまり、上層部がほぼいない今、敵が攻めてきたらどうなるかを考えて四天王を残していった。 あ、レオンは例外な。 団長の護衛兼話し相手だ。 その時だった。 『警報発令!警報発令!こちらに攻めてくる敵兵あり!数、不明!正体、不明!』 「!?」 「行きましょう!」 眠りかけていた廻の襟首を掴みながら、本部司令塔に向かう。 「どうした!?」 「じ、実は・・・」 パニクリすぎたのか、説明に2時間はかかった。 「つまり、爆発とともに敵が現れてこちらへ進行中。そしてあと1時間もしないうちに肉眼での確認が可能となる・・・と。」 「え、あ、はい!そうです!」 「最初からそう言え。」 俺はどれだけ時間がかかるのかと思ってしまった。 そんなにも簡単なことなら、方程式のやつ持ってくるべきだった。そう考えながら、30分も待つと、肉眼ではないが、カメラの望遠機能で見えるようになってきた。 「て、敵兵確認・・・数、およそ800・・・カメラに映ります・・・。」 怖気付いているのか、震える手でボタンを押すとそこには・・・この団の下層部や俺たち四天王のクローンがいた。 「これって・・・」 「嘘だろ・・・」 「団長がいないってぇのに・・・」 「くそっ・・・」 下層部のコピーの中で、1番異質な存在感を放っているのが、第二形態パルサーのコピー15体だ。 「パルサーが・・・15人・・・」 「ミーのコピーなんてミーが潰してやるぜ☆」 「やってみろ。」 俺はそうやって告げる。 パルサーが先行していく。 だが・・・1人のパルサーがパルサーを押さえつけ、そして抑えられたパルサーを紫電で残った14人が一気に刺す。 それが繰り返されるうちに、パルサーがどんどんボロボロになっていく。 回復が追いつかない。 「戻れパルサー!」 そういうと、パルサーが自動的に戻ってくる。 「大丈夫か?」 「ちょっときついね☆」 「・・・一人一人・・・自分のクローンと戦ってみろ。」 「それは・・・」 「自分のことは自分が1番わかるはずだ。俺のクローンは生憎いない。そして、パルサーが15人、ヨルさんが3人、廻が23人、レオンが33人。どうだ?絶望的だろ?」 「自分が1番わかるから突破口を開いて見せろと・・・。」 「邪魔は俺が・・・いや、自分のクローンがいない奴が止めろ。自分自身を討伐してみろ。」 言ってはいけないかもしれないが、これは少しばかり下層部の実力を試したいがあまりやったことだ。 自分自身を越えられれば、自分の問題点を見つけられる。 そう思っている。 それが間違いだったと気づいたのは、これから数分経ってからだ。 〜数分後〜 「くっ・・・」 パルサー二体と俺は対面、パルサー本人は、ヨルさんのクローンと対面している。 部が悪すぎる。 パルサーには一度も勝ったことも負けたこともない。 全て引き分けだ。 それが2匹。 どちらが一方が盾になって、もう一方が紫電で突き刺してくる。 厄介すぎる手口だ。 「本物のパルサーは・・・こんなことしねぇよ・・・」 そううめきながら、必死に折れかけている腕を押さえ、軋む音を立てる足を引き摺り、クローンのパルサーに近いていく。 「所詮・・・ニセモンだな。」 そう言って、勢いよく刀を抜き取る。 「いくぜぇ☆irregular!」 「こっちもダァ☆shutdown!」 空間に歪みが生じ始める。 だが、それはすぐに俺のエネルギーへと変わる。 「残念ながら・・・存在干渉系の技は・・・とある事情で使えねぇんだよな・・・。」 そう言いながら、右腕を押さえるのをやめる。 一応でも左利きだ。 矯正等も受けていないので左利きだ。 うん。左利きだ。 俺は大ぶりで刀をふるう。 「当たらないよぉ。」 「当たらないよぉ。」 2人同時に避けられる。 だが俺は後ろに飛ぶ。 そのまま・・・パルサーと背中合わせになり、パルサーを俺がいた方向へ投げ飛ばす 「頼んだ!」 「まかセロリィ!」 そしてヨルさんのクローンをすれ違いざまに切り裂く。 その後、パルサーの方に戻っていき、片方を壁にくくりつける。 その時に大量の磁力を浴びたが、お構いなしにギタギタに切り裂いていく。 「バスレットマーチ・極!」 拳に込められた負の念を大きく叩きつける。 「これなら・・・」 パルサーには物理攻撃は効かないと考えた方がいい。 だが、これは物理攻撃であると同時に、精神攻撃だ。 奴はどこまで言ってもクローン、パルサーとの精神の違いは段違いだ。 こっちの方がはるかに弱い。 多分俺と同じぐらいだろう。 その同じぐらいのやつに、俺の不満の半分も割り当てたら流石に精神のキャパオーバーで死ぬ。 それをもう一体にも叩き込んでやった。 「ナイスゥ!」 「ああ。でも・・・」 「まだ後十体もいるねぇ!」 「これが強さが仇になるってやつか。」 「まぁそんなところだyo☆」 そう言いながら、後ろを振り向くが、下層部は苦戦しまくっていた。 藍は自分で投げつけた毒を自分で食らっていたり(自業自得な気がする)音生は最初っから最大出力で行っていたのか、沈黙している。 闇はスナイパーライフルのスコープが壊れており、クローンとのただの乱射のやり合いになっている。 ヨルさんは華麗な空中戦(?)を繰り広げており、廻は眠そうにしながら大量のクローンの灰の上で石を投げて援護している。 レオンのクローンはすでに俺が灰に変えてある。 流石に同僚のクローンを灰にするのは気が引けた。 けどよくよく考えてみたら、同僚をパクられたのだ。殴り飛ばすどころか拷問したかったが、流石に灰にした。 〜数時間後〜 下層部のほとんどが決着がついた。 もちろん本物の勝ちだ。 ただ・・・ 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 「ミーはパルサー・マグネターだ☆」 ・・・そう、このうるさいほどいるパルサーのクローンだけは苦戦している。 バスレットマーチでは殺し切れない。 再生能力を奪うしかないのだが、そうしようにも方法がない。 「うーん・・・しょうがない。いっくぞー。下層部、誰かペンと紙もってこい。」 「はい!」 クローグさんがが即座に出してくれる。 「あ、ありがとうございます。」 上層部だったはずだし流石に敬語は使った方がいいだろう。 「よーし・・・」 そうして、ペンで紙にタイムスケジュールのような物を書く。 「できた!総員、残り5分だけ持ち堪えてくれ!」 『了解!』 まぁ多分クローン1匹につき10人程度着けばいいだろう。 「紫風さん、私たちは?」 「・・・やりたい放題やってください。ただ、非常時は・・・」 そう言いながら、胸ポケットから出したお札を渡した。 「相手にどこでもいいのでこれを触れさせてください。神符・嶺斬と言って、確定で気絶させることができます。数秒間で離脱。そのご、5分経過まで核シェルターがそこら中にあるので、それのどれか一つに入って持ち堪えてください。」 「眠い・・・レオン帰ってこないかな・・・」 「すぐ帰ってくるから。」 「紫風さんは?」 「俺も好き勝手やります。」 「そうですか。」 「んじゃ、また後で。」 そうやって、全員で拳を突き合わせてから、戦場に向かう。 「EXTRA、召喚!」 そういうと、どこからともなく球体型の生命体が出てくる。 最大個体数の360体。 それぞれが俺がすっぽり収まる程度の大きさをしているため、戦場を埋め尽くせる。 これである程度は持つだろう。 「んじゃあ・・・やりますか。」 そう言いながら、刀でクローンの腰を丁寧に一人一人切り裂いていく。 「あ、ヨルさん!」 「はい?」 「雷!」 「あ、」 そう言いながら、俺が一気に電気を貯める。 「ありがとうございますね!」 「・・・ああ!」 廻の方を見ると、もう戦闘が始まっているようだ。 ヨルさんも突っ込んでいく。 俺も・・・いくか 〜5分後〜 「全軍撤退!」 そう叫ぶと、全員が煙幕弾を投げつけて引いていく。 「よし・・・全員引いたな・・・。いくぜ・・・!destiny!」 そういうと、一気に歴史が書き換えられていく。 このクローンがいたという歴史を消すことで、死者も無くしていく。 ただ、完全になくなるわけではなく、記憶は残るし、名残のようなものもある。 それでも、死者はいない。 負傷者はいる。 と、その時ちょうど、大量の車の音がすると同時に、レオンが飛びついてくる。 「みんなぁぁぁ!無事でよかったぁぁ!」 みてみれば泣いている。 「れ、レオン・・・」 ヨルさんが必死に宥めようとしている。 そして、後ろから団長が来る。 「ほんっとうにごめんなさい!自分が留守だったためにこのようなことになってしまい!本当に申し訳が立たないです!」 「あ・・・いえ。まぁ・・・」 「もうあげる頭がありません!なんなら頭ごと地下にめり込みそうです!」 そう言いながら、土下座をしながらにじり寄ってくる。 「団長、顔をあげてください。」 「いやです!」 「あげなさい!」 俺は無理やり押さえつけて、廻に顔をあげさせるように頼む。 ふかふかの布団を用意することと引き換えに了承してくれた。 なんでや() 「団長、結果的には全員生きてます。負傷者はいますが、肋骨が折れたやつぐらいです。」 「それでも・・・」 「悪いのはこの騒動を起こした・・・」 そう言いながら血狂いを大きくのばす。 その先にいたのは・・・ 「ちょ、紫風!やめい!」 彼の研究者、冬馬だった。 「うちの同僚がすみませんでした・・・」 そう言いながら、俺の方から深々と頭を下げる。 「ほら、冬馬も謝れ!」 「え、あ、はい・・。すみません?」 その瞬間、俺は冬馬の頭を地面に叩きつける。 「土下座せい!」 「は、はいぃ!?」 そう言いながら、夜になるまで俺と冬馬は土下座したのだった☆ 〜終わり〜
後書きはした 後書き どうもです! 如月時雨でーす。 狂花物語のモチベが湧かないので適当なるうちよそ小説を書いときました。 その場しのぎですねー((( ということで書くこと短すぎるですが、ありがとうございました〜!