↓へ行け! 「・・・僕の答えは・・・とります。その紫風さんの手を。」 「・・・本当にそれでよかったんだな?」 「今更ですか。」 「ふふっ・・・まぁいいだろう。」 そう言いながら、紫風さんは戦場の真ん中で僕の手を握った。 「我が人生全ての力をレオン・・・八咫烏レオンに全てを注ぐ。」 体の中に力が流れ込んでくるのを感じる。 「・・・ありがと。_____さん。」 あたり一帯を光が包み込んだ。 〜パルサー視点〜 「!?なんだありゃあ?」 ミーはとんでもないものを見つけてしまった。紫風のやつとレオンが手を取り合った瞬間、奴らを中心とし、光が渦巻き始めたんだ。 それは戦場を包み込み切った。 眩しすぎて眩しいぜ★ 数秒でその光は消え去ったが・・・戦場の上空には 2本の刀を携えた、レオンの体をし、紫風のやつの能力をしたミーの第二形態のように死のルーツから抜け出しミーの上を行く神を超えた意思のある無形物になった。 ミーはしばらく見惚れていたようだね★ 〜紫風&レオン視点〜 これが・・・紫風さんの能力・・・ 自分の持つものとは明らかに何かが違った。 研ぎ澄まされ、全てを超えるために抗ってきたようなものを感じた。 今まで手で、足で、何もかもを超えるために動いてきたものが自分のものになったようだ。 多分この感覚は、世間でいう自分の体が自分のものではないような感覚というやつだろう。 『まぁ、俺の体の主導権がお前にうつったというよりかは、お前の体と俺の体が融合しただけだ。』 「ある意味怖いですねぇ。」 そう言いながらも、慣れた手付きで刀を抜くと同時に、瓦礫を浮かび上がらせる。 「ねぇ、紫風さん」 『そう呼ぶんじゃない。今の俺はお前だ。』 「じゃあ、フェスフォードさん。なんか自分で自分の名前を呼ぶのにさん付けするのちょっと恥ずかしい・・・」 『まぁそれでいいだろ。この戦闘が終わったら、俺という人格は消える。体も消える。ただ、感覚が残る。それだけの話だ。さぁ、さっさと終わらせて俺を眠らせてくれ。』 「・・・はい。」 そう言って、一気に固まっている敵を粉砕する。 「レオン・・・さん?」 下層部の1人がそう声をかけてくる。 「さぁ、どうだろうね。」 その声は、紫風さんの声と自分の声が合わさったような声だった。 「さて、バスレットマーチ・臨」 そう告げると、アニメーションを逆再生するように、黒いものが集まって僕の元に戻ってくる。 これは紫風さんが今まで使ったバスレットマーチを全て戻している。 周りへのダメージが半端ではない。 これが紫風さんの力なのかー。と改めて実感させられる。 数時間で、制圧は終了した。 〜数時間後〜 「・・・紫風さん、ありがとうございました。」 「そうだな。」 そう言いながら、誰もいない浜辺に腰をかけている。 「・・・なぁレオン」 「なんですか?」 「・・・俺の地元、北海道なんだわ。」 「それは知ってます。」 「・・・それでな、俺の遺体は、割柏っていう表札がガムテープで貼ってある家を探して、そこにほっぽってほしい。」 「え・・・?」 「・・・ずっと秘密にしてたんだけどさ、俺の本当の名前は割柏紫風、だったんだよ。」 「・・・そう・・・ですか。」 「ああ。」 沈黙が流れていく。 「・・・四天王のみんなには、ごめんって、下層部のみんなには、ちゃんとやれって、上層部の全員には、体に気をつけてって、そしてお前には・・・最高の謝辞と、感謝と、」 そう言って立ち上がった。 「俺の全てを。」 そう言って、刀を握らせてくれた。 「で、でも使いこなせない気が・・・」 「使いこなせてない。俺もだ。阿修羅丸が、白死の中にいるものが、力を貸してくれる。ほら、頑張れよ。」 そう言って笑う。 ずっと背負っていた、重荷を外したような爽快感の笑みと共に。 そのまま、紫風さんの瞼がだんだんと降りていく。 「紫風・・・さん・・・」 「ありがとな、レオン。会えて嬉しかった。」 「瞼を・・・閉じないでください!目を、絶対に閉じないで!閉じちゃだめ!紫風さん!紫風!」 その叫びは届かずに、紫風さんは完全に目を閉じた。 最後の最後まで笑った。 3人で1人、まさにそんな人生を送った、赤坂紫風、臨音一菜、そして割柏紫風。 この3人の人生は、過酷だっただろう。 親を殺し、自分を偽り、弟にさえ手をかけ、そしてこんな組織に入り、任務で死に、転生し、臨音一菜としての人生を初め、そして、艦隊に敗れ、それでも舞い戻ってきた。割柏紫風の名になって。 冷たくなった亡骸を抱え、僕は笑った。 笑いきった。 〜次回・エピローグ〜
待ちきれなかったので書きました。使い方には、手を取るルート、こっちには手を取らないルートが書いてあります。 「・・・僕の・・・答えは・・・取りません。それはあなたの力です。」 「・・・そうか。」 その声を背中に聞きながら、 僕は歩いて行った。 〜数時間後〜 僕は追い詰められていた。 真正面、右、左、上、した、360度すべての場所から狙われている。 立っているのは僕と紫風さんだけだ。 紫風さんはさっきから見当たらない。 僕は負けを確信した。 全方向からの攻撃が走り始めた。 一筋の閃光が、僕を貫く瞬間まで、まった。 グシャリ 僕は音に気づいて、ささったんだなと思った。 音自体は刺さった音だった だが、刺さったのは僕ではなく・・・ 「ゴフッ・・・」 「え・・・?」 目の前に立っていたのは、全ての能力を解除して、それを僕の周りに張り巡らせた紫風さんだった。 一部だけ埋められずに、紫風さんが身を挺した。 僕は呆然としていた。 紫風さんが頭を掴んでくる。 「レオン・・・!大丈夫か・・・?」 「紫風さんの方が重症ですよ。」 そう言いながら、急いで応急処置を済ませる。 「薬の無駄遣いだ・・・」 「そんなことだけは絶対にない!」 「召喚・・・『EXTRA』・・・」 そういうと、何もない場所に黒い大きめの球体があった。 「え・・・」 「すまんなレオン・・・俺は・・・もう帰れない。」 そういうと、紫風さんは出てきた黒い球体に乗った。 地面が溶けていく。 信じられないほどの温度だ。 多分凡人が見たら見ただけで目を痛めるだろう。 紫風さんもただではすまなさそうだが、以外にもしれっとしている。 ただ、僕は手を伸ばすことしかできなかった。永遠に会えなくなるであろう同僚の背中に手を伸ばすことしか・・・。 〜数分後〜 敵残り部隊が、全滅した時、紫風さんは膝から崩れ落ちた。 「紫風さん!」 僕は青ざめて叫ぶ。 身体中から血が流れている。 紫風さんは死人だが、亡霊ではない。肉体もちゃんとある。 ポケットに入れてあったハンカチを取り出し、 所々の出血を締め付けて止血しようとする。 「無駄なことをするんじゃない・・・遺体は・・・北海道の・・・割柏っていうガムテープで表札はったところに・・・埋めといてくれ・・・」 「え・・・?」 「俺の・・・本当の名前は・・・割柏紫風なんだよ・・・。」 「・・・そう・・・ですか。」 紫風さんは、震える手で、僕の頭に手を置いた。 そのまま、何もかも諦めたかのような表情をする。 「やっと肩から荷が降りたよ・・・。ありがとな、レオン、会えて嬉しかった。」 だんだんと紫風さんの瞼が降りてくる。 「紫風さん!目を閉じちゃだめ!起きて!一緒に帰ろ!紫風さん!紫風!割柏紫風!」 そう叫びながら揺さぶるが、その願いは届かず、紫風さんはゆっくりと瞼を閉じきった。 戦場に深い悲しみが走る。 一度死んだ人が、戻ってきて、もう一度死ぬ、自分たちのせいで死ぬなんて見たくもない。 だが、これから下層部たちはもっと強くなるだろう。 紫風さんの代わりを埋めるために、いや、紫風さんの意思を受け継げるほどの器になるために。 「今日はカクテルで乾杯にしましょうか・・・」 そう紫風さんの亡骸に声をかける。 死んでしまった。そんな実感は湧かない。 「明日も会いましょうね、『赤坂紫風』」 そう言って見上げた空には、真っ赤に染まった一番星が遠く遠く光っていた。 〜次回・エピローグ〜