〜レオン視点〜 「えっと・・・」 「ほらさっさと準備して。」 そう冷たく言い放つ。 紫風さんをこの世から引き離さない。それだけが頭に張り付いている。 それだけを考えている。 紫風さんの刀を拝借し、片方を腰に吊り下げてみたが、相当重い。 これを2本、両腕で振るってたわけか・・・。 とりあえず、流石に置いておく。 そう言えばヨルさんって・・・剣どうしてるんだろう。 そう思って、聞いてみた。 「えっと・・・剣はですね、とある職人に頼んで同じものを作ってもらっています。」 「その間ってどうするんですか?」 「どうしましょうね・・・。」 紫風さんのように予備武器があるわけじゃないし・・・廻のように能力があるわけでもない。 「一応刃物の扱いは慣れているので、別の剣とかでたたかおうとはおもいますね。」 「そうですか・・・」 なんか申し訳なく感じる。 「刀と剣って・・・同じ?同じなら紫風の刀を少し拝借してもいいと思うけど・・・」 そうやって廻がつぶやく。 「流石にあれは重いですね。飛べないです。」 「やっぱそうですよね。」 そんなことを話しながらも、必要な物資等を準備していく。 〜数分後〜 「全員準備完了っぽいし・・・出陣!」 そう言い、下層部が飛び出していく。 僕はさっきアンと喧嘩したことを引きずりながら戦場へ赴くのだった。 〜数時間後〜 段々と押され始めてきて、少しずつ苛立ちが募る。 「・・・」 「・・・」 ヨルさんと廻も何も話さない。 「先輩!」 「・・・アン。」 「先輩、さっきはすみません。でも・・・無茶がすぎます!パルサーだって精神状態が超不安定なんです。その状態で戦わせたら、精神系攻撃でやられちゃいますよ!」 「・・・そんなことわかっていても・・・わかっててもやらなくちゃ・・・」 「こんな時にまで紫風さんの真似ですか?あれはあの人だから成立するセリフです。良い加減正気に戻ってください!」 「でも!」 「レオン。」 ヨルさんまでそう言ってくる。 「・・・誰にだってすれ違いは起きる。思想だって全然違う。でしょ?」 廻も多分渾身の慰めをしてくれる。 その言葉に気付かされた。 紫風さんだって、僕とは思想は違う。 そうだった。 思い出した。 「・・・そう・・・だね。」 僕は思い出した。 そして叫んだ。 「全軍撤退!」 と。 〜数分後〜 「これから臨時会議を始める。議題は・・・反乱軍の対処についてだ。」 会議室に緊張が走る。 「対処法としては、目の前の敵に集中すること。自分の身を自分で守れ。真正面から向かっていって、勝てる相手じゃないことは分かっている。けど・・・さ、試してみようじゃん。四天王に頼りすぎて、四天王がいなくて・・・自分がどれだけ強いのか。そして・・・四天王が全員いなくなったら、自分たちで四天王を引き継げるか。知りたいよな!」 そうやって会議室中に響く声でアンが叫ぶ。 もちろんそれに、下層部も、上層部も、四天王も応える。 多分、このカリスマ性あってこそのアンだと思う。 このカリスマがなかったら、この組織は完成していない。 そう思えた。 ー作戦説明ー 1、準備段階として、トップランカーは、全員が一つ、禁忌を使えるようにする。 2、準備段階下層部は、自分の得意なものをよく伸ばす。 3、四天王は、自分ができる最大限のパフォーマンスをできるようにする。 4、ここからが本題。 まず、上空から仕掛ける。飛べるものは、遠距離のものを抱えて、飛ぶ。それぐらいできる筋力はつけておく。 5、パルサーの号令で、一気に次元槍のホールから出る。(紫風の使っていた武器) 6、速度重視が突っ込み、相手に割れ目をつくり、そこにパワー重視のものたちが技を叩き込む。 7、5時間経ったら、禁忌を発動。(使えるものだけ) 8、固定大砲を破壊 9、戦車の発射口を塞ぐor弾を切れさす 10、自由に殺す。 「目指すは、全ての全滅。いいな?」 そう低い声でアンが叫ぶと同時に、下層部がトレーニング室へ駆け込み始めた。 〜数時間後〜 「えっと・・・こうですか?」 「逆。」 今、ヨルさんが刀と槍の練習をしている。 最も、槍を構えるのが逆すぎるので、あまり進んでいないご様子。 「先に刀やろっか。」 廻の一声とともに、竹刀を投げる。 「これならやったことありますね・・・。」 そうして、一発振るうと・・・目の前のスイカが割れた。 「えぇ・・・」 廻が少しうめく。 「もう教えることなくない?後重心をもう少し前にして丹田に力入れるだけでしょ・・・。」 「えっと・・・、羽も一緒に修理に出しておいたら、馬力強めにに改造して羽を先に終わらせてくれるって言ってたので、紫風さんの刀が振るえるようにはなっていたいですね。」 「あれを・・・?」 「片方だけでいいのであの黒い刀、持ってみたかったんです。」 「持ち上げるのすら一苦労だよ・・・。普通の刀とは違ってあの中に生き物がいるみたいなもんだから。」 「まぁそうでなくてもあの刀重そうですもんね・・・」 「多分10kg前後はあるよ・・・。」 そんなことを言いながら、刀の方を廻が振り向いた。 「紫風、借りるぞ。」 そう言いながら、持ち上げた。 「重っ」 廻の方が悲鳴をあげている。 助けてくれ、と。 ヨタヨタとこちら側を振り返ってきたので、僕は慌てて手伝って、机の上に置いた。 「一応結構な重量あるよ。」 それだけいって、ヨルさんが手に取るのを見守った。 「・・・意外に軽いですね。」 「・・・へ?」 こっちは二人がかりでも重かったのにヨルさんは軽々と持ち上げている。 「もしかして黒剣持ってたときに感覚狂ったんですか?」 「・・・?」 「まぁいいです。それで・・・まぁ鉄でも切り裂いてください。」 「そうですね・・・」 そう言いながら、下段に刀を構え、剣と同じように扱うが・・・ ガキン! 「あ・・・」 「・・・」 「逆・・・」 刀の峰で鉄パイプを打ってしまったようだ。 鉄パイプが大いに凹んでいる。 「この刀すごいですね・・・」 「「逆でしょうが」」 僕らは声を揃えて否定する。 時間も忘れ、鍛錬に取り組んでいた・・・。 〜続く〜
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