VFゴースト① ジリリリリリリ!! キンコンキンコンキンコンキンコン キn... ダンッ!! ゴァァァァァァァァァァ!! 「8639快速特急京とれいん雅楽、11時34分淡路駅到着...遅延回復しました!!」 「よっしゃあー!!」 それはあまりにも衝撃的な記録だった 桂~淡路間をわずか三分半で駆け抜ける 一年前に奏が更新したダウンヒルのコースレコードは、この瞬間に消滅した!! 阪急大阪梅田 幸助「くーっ!!このフォルム!!そしてこのライト!!痺れるッ!!」 幸助「いやーまさかの復活だよなぁ...阪急2000...」 幸助「俺もう一生見れねぇかと思ったよぉ...!!」 幸助「なぁ涼、聞いてんのかよ」 涼「聞いてるよ...で、いくらなんだよ、その2000って」 幸助「買える訳ねぇだろ!!もう2000あれしか残ってねぇんだぞ!!」 涼「え...そうなのか」 幸助「...」 幸助「お前やっぱ全然聞いてねぇじゃねえかよ!!」 涼「わ~!!悪かった!!悪かったよ!!」(耳引っ張るのヤメロ!!) 幸助「うるせーこのぉ~!!」 池谷「やれやれ...」 健二「それにしても...激動の日々だったよなぁ...あんときは...」 池谷「ああ...」 池谷「宝塚の幽霊がすぐ近くにいて...」 健二「色んなヤツにバトル申し込まれて...」 樹「アーバンの時はホント殺されるかと思いましたよ~...」 健二「そんでワタワタしてるうちにプロジェクトDに引き抜かれて...」 池谷「そっからは連戦連勝で...」 ズーン... 池谷「俺たちの環境が悪かったのかなぁ~...」 健二「あぁ...」 中里「別に負けてはなかっただろ」 池谷「おおっ!!中里毅!!」 池谷「...中里、あいつをどう思う?」 中里「どうって...慎吾の息子としか...」 池谷「ちげーよ、その隣だよ」 中里「隣...」 池谷「俺は、いつかあいつもビックになると思うんだ...」 中里「ただの客じゃねーのか?」 池谷「だからどこ見てんだてめー!!」 ゴォォォォォォォォォ... 「ただいま到着の電車は、回送車です」 幸助「TX-1000?」 筋山悟「まさか...」 キィィィ... ガチャッ ヌッ... 筋山「!!」 幸助「!!」 涼「...」 「ご乗車になれません」 須野山「俺ら、S-Trainsっつうもんだけど...」 須野山「イキナリで悪いが、阪急で一番強いチーム、教えてくんねぇか?」 筋山「一応、現状は俺らが最強ってコトになってるけど...」(ProjectDも解散したし...) 未野崎「なら、うちのチームと交流会をしてくれないかな?この宝塚線で...」 涼「交流会...」 未野崎「近々大きなバトルがあってね、練習に付き合ってほしいのと、他のチームとの親睦を深めておきたくてね」 未野崎「どうかな?」 筋山「別に構わないが...」 未野崎「じゃあ、来週の日曜午後2時に」 ゴォォォォォォォォォ... 須子谷幸次郎「どうも怪しいな...」 筋山「ええ...」 筋山「表向きは体裁の良いこと言ってるけど、ようはバトルですよね...」 筋山「よっしゃあ!!俺たちもやるぞ!!余所者なんかに負けてたまっかよぉ!!」 一同「おう!!」 須子谷「...」 池谷「S-Trainsか...」 池谷「これまたヤバいチームに目を付けられちまったなぁ...」 須子谷「やっぱり...速いんですか?」 池谷「速いのなんの、当時の須藤京一並みのヤツがゴロゴロいやがる」 池谷「間違いない、長年拓海の...プロジェクトDのダウンヒルエースの走りをみてきた俺が宣言する」 池谷「あいつらは...いずれプロジェクトDを超えるだろう」 須子谷「...」 筋山「...」 池谷「...」 池谷「まぁ、さすがにそこまではないだろうが...」 池谷「とにかく、とてつもなく速い奴らだ、助っ人を呼んだ方が良い」 池谷「健闘を祈る」 須子谷「...」 筋山「どうするんです須子谷さん...こっちでも意見をまとめといた方が...」 須子谷「...よし」 須子谷「駄目元だが...あの人に頼んでみる」 ピーンポーン 須子谷「今田運輸でーす」 須子谷「...」 ガチャ 涼介「すみません、お待たせしましt...」 涼介「!!」 涼介「お前は...阪急の...」 須子谷「顔、覚えててくれたんすか」 涼介「ああ...ところで、何故配達員に?」 須子谷「副業ですよ、お恥ずかしながら、借金が4ケタ万円ほどありまして...」 涼介「...まぁ...頑張れよ」 涼介「ちょっとハンコ取ってくる」 須子谷「あっ...あの...!!」 涼介「?」 須子谷「俺ら、S-Trainsっていうスゲーチームに目を付けられて...バトルも引き受けちゃって...」 バッ!! 須子谷「今週の日曜!!代理で行ってくれませんか!?」 涼介「...」 涼介「分かった、良いだろう」 パァァァァァァァッ...!! 須子谷「ありがとうございます!!」 バタン!! ブロロロロロロ... 涼介「...」 拓海「甘いっすね...涼介さん...」 涼介「こうしないと話進まないしな」 拓海「ハァ?」 当日 午後1時 筋山「あと五分で2時...」 筋山「ホントに来るんすか...?その涼介ってヤツ...」 須子谷「来るさ、あの人は嘘をつくような人じゃない」 涼介「そろそろ着くぞ」 須子谷「おっ...」 「来たぞぉ!!藤原拓海の阪急2000系だ!!」 キィィィィィ... シュカーッ... ガチャッ 須子谷「!?」 筋山「!?」 幸助「!?」 池谷「...」 須子谷「りょ...」 一同「涼...!!」 筋山「すんません須子谷先輩!!こいつホント馬鹿で!!許してやってください!!」 幸助「お前が来てどうすんだよ涼!!」 須子谷「もしもし!?もしもし!?どういう事ですか涼介さん!!」 涼介「俺が来るとは言ってない」 須子谷「ハァ!?」 涼(来るんじゃなかった...あのクソ親父...) スタスタスタ... 涼「?」 パァン...!! 涼「...!!」 雅子リン「直接あなたに恨みはないけど、これは雅子の分だから」 雅子リン「...さよなら」 スタスタスタスタ... 涼(...来るんじゃなかった...) 須子谷「涼!!どういうことだ!!親父さんはどうした!!」 涼「俺...親父に行けって言われて来たんですけど...」 涼「第一、親父に頼んでも走ってくれないと思いますよ...」 涼「親父医者だから、そんな時間ないし...」 須子谷「...!?」 須子谷「じゃあ...あの2000は...!?」 須子谷「いつも宝塚線を走ってるあの阪急2000は...!?」 涼「先輩の思ってる2000かは知りませんけど、最近は、俺が回送してます」 須子谷「...そうか...そういうことか...!!」 ポンッ 須子谷「あれだけ言った手前図々しい頼みで申し訳ないが...走ってくれるか?涼...」 涼「66系がかかってるから、意地でも勝ちますよ...」 須子谷「頼んだぞ...涼...」 今田「勝負は一本勝負、先に梅田駅に到着した方の勝ちだ」 きりたん「東北きりたんです、よろしくお願いします」 涼「藤原涼です」 きりたん「...」 きりたん(平井車庫で会った時も思ったけど...やっぱりオーラを感じる...) きりたん(痺れてきました...一筋縄ではいかなそうですね...!!) 「いよいよ始まるぞ...やっぱり宝塚線の代表はあの2000系か...」 「最新鋭の9300系に、60年も前のクルマで勝負だなんて無茶だよなぁ...何考えてんだ?」 今田「リン、201の助士側に乗れ」 今田「特等席から見物させてやるよ、急げ」 「それじゃあカウント始めっぞぉ!!」 「ゴォ!!」 「ヨォン!!」 「サァン!!」 「ニィ!!」 「イィチ!!」 「ゴォォォォォォォォォ!!」 ガッ!! ギョアアアアアアアアアアアアア!! 「はっえー!!東北きりたんの9300系!!」 「WN駆動方式は伊達じゃねえ!!」 「勝負になんねぇ!!2000系のフル加速なんて、まるで止まってるようにしか見えねぇよぉ!!」 「ストレートでちぎるのは不本意だが...これは一対一のバトルだからな...遠慮はしねぇぜ!!」 清荒神 幸助「どうしたんですか須子谷先輩...」(涼をバトルに出すなんて...) 須子谷「お前ら...数ヶ月前の雅楽事件、覚えてるか?」 筋山「ああ...あの京都線の...」 須子谷「俺見ちまったんだよ...運転室に座ってる涼の横顔を!!」 幸助「な...何ですってぇ!?」 須子谷「見間違いかもしんねぇけど...あいつならやってくれるかもしれねぇ...」 売布神社 「こちら売布神社!!すっげぇぜ2000系のライン!!」 「藤原拓海が蘇ったみてぇだ!!ゾクゾクするよぉ!!」 雲雀丘花屋敷 きりたん「差が詰まってる...!?奴のクルマが近づいているぅ!?」 石橋 「な...なんだぁ!?あの2000系!!」 「凄いスピードでケツを流しながら突っ込んで、そのまますげぇ速さで抜けてったぞ!!」 「いつすっ飛んでもおかしくねぇ...見てる方がゾッとするぜ!!」 蛍池 「マジかよ...」 「とーほくの9300が、走り屋相手にあそこまで追い回されることなんて、今までなかったぜ...」 豊中 「こちら豊中駅!!えらいことになってるぜ!!」 「とーほくが完全に追いつかれちまってるぅ!!信じらんねぇ!!」 きりたん「追いつかれた...!?何が起こってるの!?気が変になりそう...!!」 丘町 今田「リン、今のお前に必要なのは、ああいう走りだ」 今田「VVVFだとか抵抗制御だとかを考えず...というか知らず、ただ我武者羅にドリフトを駆使し相手を追い続け、何も考えず抜く、いわば脳筋スタイル」 今田「スランプになったら一度初心に帰れ、いつでも相手してやる」 リン「...はい!!」 曽根 きりたん「離しても離しても食いついてくる!!宝塚線の幽霊にでも憑りつかれた気分!!」 きりたん「直線では私の方が早い!!それなのに食いつかれるってコトは...コーナーワークで負けてるってコト!?」 きりたん「そんなことは...死んでも認めたくない!!」 庄内 涼「随分とスキがなくなってる...ウデを上げたな、このドライバー...」 涼「抜かねーと勝ったとは認めてくれねぇだろうしなぁ...あのくそ親父...」 涼「しょうがねぇ...あれやるか」 涼「仕掛けるポイントは、梅田の複々線!!」 涼「親父と同じトコは使わねぇぜ!!」 十三 きりたん「押さえた!!」 きりたん「淀川鉄橋の直線のアトは、キツイS字と行き止まりの梅田駅!!」 きりたん「隣には私がいる...!!仕掛けられるワケがない!!」 中津 ガキン!! きりたん「なっ...!!」 ギャアアアアアアアアアアアアアア!! 健二「神戸線を使ってドリフトかよ!!」 池谷「その手があったか!!」 きりたん「...!!」 コーナー侵入時に失速した東北きりたんに対して 高い進入速度を維持したままカタパルトのような加速を始めた涼の2000は 中津で9300を易々とパスし 最短距離で梅田場内へと飛び込んで行く その瞬間に、大方の予想を覆して、ダウンヒルバトルは決着した きりたん「ク...クソッたれがぁァァァァァ!!」 梅田 「とーほくが負けたぞぉ!!先にゴールインしたのは宝塚線の2000系だ!!」 筋山「うおーっ!!」 幸助「すごいよ涼さん!!」 須子谷「やってくれたなぁ!!涼!!」 「しかも一分も差を付けられてたぞぉ!!一分だぞぉ!!」 今田「こんなことが起こるから電車バトルは面白いぜ」 今田「久々に俺が本気で熱くなれる逸材に出会えて気がするな...」 今田「Project25完全制覇は、藤原涼入団までその先はない」 今田「あの2000は...俺が入れる!!」 藤原模型店・高橋クリニック ガチャ 涼「66系未更新車、忘れんなよ」 涼介「...フッ」 終
この作品はフィクションです。 実在の人物・団体・事故などとは関係ございません。 元ネタ 電車でD 頭文字D one night"D"time 藤原涼 高橋涼介と藤原拓海の間に出来た息子 おっとりした性格で、ごく普通の一般人だと思われていたが...? 庄司幸助 庄司慎吾の息子 マジでごく普通の一般人 武内樹 藤原拓海の友人 拓海が去った後も練習を続け、今では中里毅並みの実力を持つ、そこそこ名の知れた走り屋に 本人曰く、山陽では俺の事を知らない奴はいないらしい 筋山悟 藤原涼の上司