Project25㉘ つつじヶ丘 司「それにしても、よくついてこれるもんだ...」 司「一定距離離れたところから振り切れそうで振り切れない...」 司「流石俺の8300改についてこれただけの事はあるな...」 司「こっちは普通に走ってさえいれば、それだけで終わるバトルじゃなかったっけか!?」 司「こいつ...一体何者なんだ...!?」 司「この雪がクセモンだ...」 司「このコンディションならこっちの方が圧倒的に有利なはずなのに...」 司「俺よりも奴の方が、リスクを冒してマージンを削り取ってるというわけか!?」 司「バトルはまだ始まったばかりだろ...最後までその危ない綱渡りが続きゃあ良いがな!!」 柴崎 「信じられねーよぉ...23形って...こんなに速いクルマなのかよぉ...」 「あの無敵の100が...Project25のダウンヒルエースがついていけないのかぁ!?」 奏「はっ!?」 奏「藤尾さんのやり方って...ひょっとして、あれの事かな...」 奏「藤尾さんの得意技っていえば...絶対あれ!!」 奏「『あれ』を出すためには、どうしてもこの距離をつめなきゃあ...」 奏「絶対逃がさない!!」 国領 司「くそっ...何なんだよテメーはよぉ!!」 司「気分悪いぜドンドン近づいてきやがるどう解釈すりゃあいいんだ!!」 司「何かを仕掛けようとする気配だけはビンビンと伝わってくる...」 司「くだらないことは考えないで大人しくそこにいりゃあ良いんだ!!」 司「ふざけんなよぉ...!!」 「今国領を通過したってさ...4~50mの差らしいぜ...」 総一郎「分からない...頭がクラクラしてきたぜ」 総一郎「100が23についていけてるのは異常だぜ!!コーナーの多い前半が、勝負どころだったはずなのに...!!」 総一郎「俺のシュミレーションではありえない事態だ!!雪は俺たちにとって...有利な材料じゃなかったのか!?」 総一郎「前半で決められないとしたら...このバトル、もつれるぞ!!」 総一郎「100の計算できない能力が、100%勝てると思っていた作戦の土台を、ぐらつかせてやがるぜ...」 布田 奏「分かる...100の車両全体から伝わってくる...!!」 奏「濡れたレールにくいついた車輪が、滑り出すギリギリの感触が...手に取るようにわかる!!」 奏「絶対捕まえる!!カウンターアタックを仕掛けるチャンスは、せいぜい一回か二回」 府中 瑞希「ひとつ不安なことがあるんだ」 瑞希「キングの藤尾と言えば、たぶん真っ先に思い浮かぶのはカウンターアタックだと思うんだよ」 瑞希「奏が混乱した頭でどういう判断してるか心配だよ...カウンターアタックはハズレだからね」 分文河原 「ふざけんなって...言ってんだろうがぁ!!」 ガキィン!! 瑞希「うっげー...何だそれ...逆ドリフト!?」 まふゆ「その通り...カウンターアタックは、仕掛けても100%失敗する」 奏「やっぱり自分よりコーナー速い相手にカウンターは無理...」 奏「いや、そんなことない!!一回失敗したくらいで諦めない!!」 奏「次が最後のチャンス...まふゆが出来るっていうなら、絶対出来るはず!!」 聖蹟桜ヶ丘 奏「いっけぇぇぇ!!」 司「馬鹿野郎!!突っ込みすぎだ!!聖蹟の次は、キツイ右だ!!」 グラ... 奏「!!」 ロコ「マジカルトレイン!!」 京王5000系 ガリガリガリガリ!! スカァーン!! 奏「助かっ...たぁ...」 奏「何が何だか分かんないけど、すごいラッキー...」 奏「けど、今のミスでまた少し離された...やっぱりカウンターはダメ...通用しない...」 奏「カウンターじゃないとすれば、どうすれば...」 司「こっちだって仲間内の対面ってもんがあるんだ!!絶対前には出させねぇぞぉ!!」 司「このまま逃げ切ってみせる!!」 長沼 奏「もう時間ない...考えてる暇ない...」 奏「分かんないなら...いくしかない!!」 北野 えむ「来たああああっ!!来たよ類くん!!」 フッ... えむ「あれ...消えた...?」 ゴァァァァァァァァァァ!! えむ「!!」 えむ「どぁあぁっ!!」 「ドゥワァ!センナナヒャク!!」 京王片倉 司「消えた...!?100がいなくなった!?」 司「馬鹿なありえねぇ!!長沼までピッタリと前照灯が張り付いてたはず...」 山田 司「!!」 司「まさか...」 司「そんな...ことが...!!」 パッ... パッ... 司「前照灯を消し闇に紛れて、抜いたところで仕掛けてくるか...」 司「文句のひとつも言いたいところだが、こいつはレースじゃない」 司「抜いたり抜かれたりの追っかけっこより、こっちの方が俺にはあってる」 司「俺の前に出られたままでいられるかよ!!めじろ台までに捕まえてやる!!」 ポジションはこのまま入れ替わることなく、100が23より先に京王を駆け抜ける その瞬間に、大方の予想を覆してダウンヒルバトルは決着した!! 高尾山口 恵一「信じられねえ...」 恵一「負けることがあるのかよ...この条件でお前が...」 恵一「絶対俺は...信じらんねぇ...一体何があったんだよ...」 司「信じるも信じないも...こっちが有利なはずの中盤まで食いつかれて、アドバンテージを作れず、確実に抜けるトコで抜かれた...それだけだ」 司「ブラインドアタックはきっかけに過ぎなかった」 司「しばらく立ち直れそうもねえや...あいつは根本的に何かが違う」 まふゆ「はじめに言ったでしょ?逆転の発想だって」 まふゆ「ドライバーの仕事は、クルマの潜在能力を引き出して走ることでしょ?」 まふゆ「つきつめていけばその一言につきる」 まふゆ「早く走るという目的のうえで、相手のクルマよりも勝っているポイントがひとつでもあれば、そのポイントを武器に徹底して攻めるのみ」 まふゆ「藤尾のやり方を思い出せと言ったのは、技術的な面だけでなくそういう心理面を含めて二重の意味があったのよ...」 まふゆ「今日のバトルは中盤までに勝負は決まっていた、引き離されずによく食いついたわね...」 まふゆ「よくやったわ、あとはゆっくりしていいわよ」 羽島「良かったな」 奏「私...褒められた...のかな?」 奏「私...本当言うと...イマイチ納得できてないんだよね...」 奏「まふゆのアドバイスの意味が最後まで分かんなくて...考えてるうちにあとがなくなって反射的にブラインドアタックを使って...」 奏「本当に、あんな抜き方で良かったのかな...」 羽島「良かったんだよ、それで」 羽島「まふゆの言いたいことは要するにそういうことだからな」 羽島「お前個人のバトルならどんな選択しようが自由だけど...」 羽島「今はニーゴの看板背負って走ってることを忘れないでくれよな」 奏「へへ...」 ゴォォォォォォォォォ... 奏「?」 羽島「?」 ゴォォォォォォォォォ... 近鉄7000系 名鉄2000系エヴァンゲリオン塗装 終
この作品はフィクションです。 実在の人物・団体・事故などとは関係ございません。 元ネタ 電車でD プロジェクトセカイ ドラゴンのロコ