ということで、私は今颯汰さんの後ろを歩いている。 ここはかなり広く、3分ほど歩いてもまだ着いていない。 「……そろそろ部屋に着くよ。」 「あ…はい。わかりました。」 不意に声をかけられたので、少し驚く。 ちなみに、歩いている中で今まで一度も話しかけられなかった。 まあ実際私も話せるような気持ちではなかったが。 「…着いたよ。…で、ここが夢さんの部屋。」 そう言われて周囲を見ると、沢山部屋があることに気づいた。 「部屋、結構あるんですね。」 「そうだね。でも、使っているのは半分ぐらいだから…」 そう言い、颯汰さんは先ほど私の部屋と言っていた部屋のドアを開ける。 そこには、そこそこ広い部屋が広がっていた。 「結構広いんですね…」 「まあね。ここはそもそもの土地面積が広いからね。あと、一応生活するのに必要な最低限の家具はもう置いてあるよ。」 そう言われて見ると、ベット、机と椅子、本棚、その他小物が諸々置いてあった。 「あ、ありがとうございます。」 「いや、別に最初から置いてあったから…」 最初から…最初というのはどのくらい前なのだろうか。 「とりあえず、12時…後10分でお昼ご飯の時間だから、その時になったら食堂に来てね。」 「あ…わかりました。」 そう言って、颯汰さんは部屋から出ようとする。 しかし出る直前、私の方を振り返る。 「そういえば…夢さんは何で“ここ”に来たの?」 それを言われた瞬間、さらに心に深く傷を受ける。 ここに来た理由…つまりタヒんだ理由のことだ。 それを考えると、様々なことがフラッシュバックしてくる。 答えたくなかった。答えるなんてできなかった。 「まあ、言えるようになったらでいいよ。」 そう言って、まるで知っているかのような口ぶりで、颯汰さんは立ち去った。 そんな気持ちのまま、ふと時計を見ると、時刻は「11時55分」であった。 「…早く行かないと。」 そう思った。しかし、 「あれ、食堂ってどうやって行くの…?」 肝心の食堂への行き方を聞いていなかった。 「どうしよう…」 教えてくれなかった相手も悪いと思うのだが、とりあえず聞かなかった自分を責める。 とりあえず適当に歩いて行こうと思っていると、 「あれ、どうしたの?」 後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには透き通るような水色髪の人がいた。 「あ、多分夢ちゃんだよね。初めまして、私は晴奈(はるな)。よろしくね。」 「あ…はい。よろしくお願いします。」 自分の名前をすでに知られていて、少し驚く。 「それで、もしかしなくても…迷ってる…よね…?」 迷っていることも知られていたので、聞いてみる。 「まあ…はい。食堂に行きたいんですが…」 「あ、私も行くところだから、一緒に行きません?」 晴奈さん…優しい人でよかった。 「あ、じゃあお願いします。」 「よし、じゃあ多分遅刻ですけど行きますか。」 そう言われ、廊下にある時計を見ると、もう12時を過ぎていた。 「あ、本当ですね。もう12時に…」 「まあみんななら許してくれると思うから大丈夫だよ。」 そんなことを話しながら、晴奈さんに連れられ見慣れぬ廊下を歩いていった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 こんにちは。AzuAzuAcchanです。 ということで、少女の異世界日記第5話です。 今回、新キャラの晴奈さんが出ましたね。 人数が増えたので、誰が話しているか区別をつけるためにも、それぞれの一人称を書いておきます。 夢→私、終斗→僕、火乃香→ボク、颯汰→俺、晴奈→私 夢と晴奈の一人称は同じですが、敬語が夢でタメ口が晴奈です。 次回、今いるメンバーが全員集合して色々話します。 ということで次回をお楽しみに‼︎