「さて、名前も決めたしこの世界について色々話さないとな。」 終斗さんがそう言う。確かに、私はまだこの世界について何も知らない。 「じゃあ何から話そう…まあまずは「能力」についてだな。」 「え…能力ですか?そんなファンタジーみたいなことがあるんですか?」 私は当然驚く。前いたところにはそんなものは無く、あったとしても物語の中だ。 「うん、あるよ。まあ勝手にそう言ってるだけだけどね。」 「そ…そうなんですね……」 私はまだ理解できていなかったが、ここはそういうところなんだと思うようにする。 「まず、能力というのはこの世界にいる人全員が持っているんだ。もちろん僕も持っているし、君も持っているはずだよ。」 そう言われて、思わず「え…」と口にでる。まだ他人が能力を持っているのを見るならまだしも、まさか私も能力を持っているとは。もうすでにファンタジー世界の一員になってしまった自分に恐怖すら感じる。 「まあ「能力」といっても、炎や水を操ったり空を飛んだり、人によってどういうものかは様々だよ。それに能力を一つだけ持ってる人もいれば、二つ持ってる人もいるし。」 「な…なるほど……」 色々聞くと、恐怖心よりも自分の能力についての興味の方が湧いてきた。 「ちなみに、僕は「風」と「飛翔」の二つを持ってるよ。」 「そうなんですね…ちなみに私はどんな能力を持っているのかってわかります?」 かなり気になっなので、思わず口に出してしまった。 「よし、じゃあ見てみる?」 見る…とはどういうことなのだろうか。 「じゃあ…見てみます。」 「OK!じゃあ、一旦リラックスして目を閉じてもらえる?」 え、こんなことで分かるの?…と思ったが、一度やってみることにした。 リラックスして目を閉じる。 すると、頭の中に何か情景が思い浮かんできた。 海の中、そこには沈んでいる私がいた。 そこからは何も見えず、ただここが海の中であると、かろうじて理解できるだけだった。 しばらくすると、自分が段々と海面に向かって浮いてくる。 抗おうともせずに、そのまま身を委ねていると、やがて自分の体は海面まで上がってきた。 そして、 そして、最後に空が見えた。 その瞬間、視界がホワイトアウトする。 思わず目を開けると、そこには終斗さんがいた。 「どうだった?何が見えた?」 と聞かれたので、あったことを全て話す 「えっとですね…海の中で沈んでいたら体が浮いて、海面まで上がってきたら空が一瞬見えました。」 「なるほど。つまり君の能力は「水」と「飛翔」だね。」 まさかのこれで判断されるとは思っていなかった。 「え…これでわかるんですか?」 「うん、そうだよ。人によって見える情景は違うし、能力もそれに関するものだったから、きっとそうだよ。」 …本当にそうなのかまだ疑っている自分がいる 「そうなんですね…ちなみに終斗さんは何が見えたんですか?」 「僕は、風に飛ばされた後空が見えたよ。」 なるほど、だから終斗さんは風と飛翔なのか。 「あ、そうそう。ここにいる人って全員一度はタヒんだ人なんだよね。」 「え…」 思わず声を出してしまう。 自分がタヒんだというのはわかっていた。 しかし、他の人もタヒんでいたとは思いもしなかった。 「ということは、終斗さんも…」 そう言ったところで、終斗さんが悲しそうな顔をしていることに気づいた。 「…………うん。僕も一度タヒんだよ。」 そう言われて、思わず謝る。 「あ…すみません……」 「…いや、大丈夫だよ。これくらい。」 そう終斗さんは言う。この場に似つかわないほどの笑顔と、どこか悲しそうな声で。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 こんにちは。AzuAzuAcchanです。 ということで、少女の異世界日記第3話です。 今回で、主人公たちの能力がわかりました。 一応言うと、能力はありますが、戦闘系の物語ではありません。敵とかは特に登場しません。 ちなみに、それぞれのキャラの能力には、ちゃんと理由があるので、ぜひ考察してみてください。 そして次回、新キャラが2人登場します! ということで次回をお楽しみに‼︎