Project25⑥ 近鉄鳥羽線 五十鈴川駅 「こちら五十鈴川、まもなく通過します」 敦郎「立ち上がりで慎一は隆二に遅れてるか?」 「立ち上がりはワンテンポ遅れてますが、トータルでは食いついてます」 「来たぞ!!」 ゴァァァァァァァァァァ!! 隆二「伊勢の谷は深いぜ...落ちないようにせいぜい安全運転するんだな」 慎一「やるぜ隆二、ビスタの性能にのせられてるだけのヘボじゃねーな!」 慎一「テメーこそ、今度はちゃんとゴールしろよ...」 慎一「またリタイアじゃ、勝った気しねーしな...」 隆二「さすが慎一...手強い!!」 隆二「吐き気がするほど鋭いコーナリングだぜ!!」 慎一・隆二「テメーじゃちぃっと役不足だが...」 慎一「あのヤローをぶち抜く前に...」 奏「お腹空いた...」 隆二「まずはてめーを...」 慎一・隆二「ぶっちぎる!!」 ゴァァァァァァァァァァ!! 隆二「手強いぜ!!9100はコーナーが速い!!」 隆二「伊勢志摩で俺とビスタ三世に、ここまでついてこれる奴がいるとは思わなかった...」 隆二「さすがセブンスターリーフと言っておこう...めいっぱいヤバいモードに突っ込んでいくぜ!!ついて来れっかぁ!!」 ゴァァァァァァァァァァ!! 敦郎「9100の最大の武器は旋回スピードの高さだ、それを忘れるなよ、慎一...」 敦郎「パワーで勝負しようとすれば負けるぞ、通勤型は、コーナリング命だぜ...」 ギャアアアアアアアア!! 隆二「そこまで曲がるかぁ!?こんなに速いコーナリングするヤツ、見たことないぜ!!」 慎一「似てるな...隆二、昔のオレとそっくりなドライビングだぜ」 慎一「闘争心むき出しの、攻撃的なドライブだ」 慎一「確かに遅くはないが、自分が思っているほど、速くはないんだぜ...」 慎一「自己流で身に着けたドラテクには限界がある、俺はトオルさんにそれを教えられた」 慎一「それが俺とお前の...決定的な差だ!!」 慎一「言ったはずだぜ!マッハトレインズに俺の敵はいねえってな!!」 松尾 琉人「頑張ってるみたいだな、隆二のヤツ...」 琉人「プライドかけて必死で走ってる姿を思い浮かべると、胸がしめつけられるような気分だぜ...」 「自分勝手なヤツばっかりの、ガラの悪いチームだけど...」 「『マッハトレインズ』ってチームが、はじめて一つにまとまったんじゃねーかな...」 琉人「勝ってくれよ、隆二」 琉人「チームのためなんかじゃない、お前自身のために!!」 白木 奏「あ...」 ザー... 「雨だ、こりゃヤバいぜ...」 「全開アタックの真っ最中だってのに...」 「よく言うじゃんか、雨は降り始めた直後が一番怖いって」 「分かるぜ...俺なんか、駅侵入直前にゲリラ豪雨に見舞われてさ...」 「そうそう、ノッチ入れても車輪が滑りまくって空転検知が働くし...」 「加速も減速も出来なくなるんだよなぁ...中断した方が良いんじゃねーか?このバトル...」 五知 「すげー!!二人とも全くペースを落とす素振りはない!!プッツリキレてやがるよぉ!!」 「あいつらほどの走り屋なら、この状況がどんなにヤベーか知らねぇはずないのに...何が何でも勝ちに行くってコトかぁ!?」 ゴァァァァァァァァァァ!! 隆二「キレやがったな!!そんな速度じゃいけるわけねぇ!!木にドカンだ!!」 クワッ!! 慎一「行ける!!手ごたえはある!!」 慎一「9100のインバーターが...」 慎一「『行け』と唸りを上げている!!」 ギャァァァァァァァァァァ!! 隆二「馬鹿が死にてぇかぁ!!行けねぇっつってんだろ!!」 慎一「行ける!!」 慎一「曲がる...曲がってくれ...俺の9100!!」 ギャアアアアアアアアアア!! 慎一「よっしゃあ!!抜けた!!」 隆二「曲がりやがった...ありえねぇ...ざけんなぁぁぁぁぁ!!」 上之郷 「ドタン場の大逆転!!」 「すげーぜ慎一!!」 琉人「...」 琉人「負けたのか...?隆二が...!?」 琉人「何でだよ...信じられねぇよ...」 ザー... 隆二「慎一、お前は長生きできねータイプだ」 隆二「雨の中であんなキレたツッコミしやがって...もう少しレールが濡れてりゃ、9100は間違いなく木の中に突っ込んでたぜ...」 慎一「違うな...無理だと思えば俺は行かない」 慎一「あの時確かに聞こえたんだ...」 慎一「コイツの『行け』って声がな」 慎一「洗面室やらトイレやらよけーなもん(遮音設備)の特急型じゃ分かんねぇかもしれねぇが...」 慎一「俺の9100は通勤型だ!!」 慎一「最後のあのコーナーは上り勾配だからな...ラストは足回りの勝負になると読んでた」 慎一「全動力車で馬鹿力叩きこんでりゃ、足回りの負担も大きい...」 慎一「俺はペースを落とさず、足を温存するドライブができる」 慎一「クルマのせいじゃない」 慎一「俺とお前の...テクニックの差だ!!」 ザー... 慎一「...で」 慎一「どうしますトオルさん、この雨じゃ...」 トオル「それなんだが」 トオル「ダウンヒルは中止だ、この路面じゃどうしようもないからな...」 隆二「この雨じゃここの下りはヤバすぎる」 隆二「それに...」 隆二「ダウンヒルスペシャリスト、琉人がこの有り様じゃあな...」 琉人「ちょっと待て」 琉人「お前...俺の怪我がなかったら走らせるつもりだったのか?」 隆二「うん☆」 琉人「無茶言うな!!お前俺を殺す気か!?」 隆二「俺は信じてるぞ、琉人!!」 キュピーン 琉人「あっ、なんかやだなーその音!!」 慎一「けど、雨なのにギャラリーほとんど帰りませんよ」 敦郎「みんな下りのバトル待ってんだろ...」 トオル「...」 津田悟「だったら、俺にやらせてください」 津田「ギャラリーサービスで見せてやりましょうよ、俺雨苦手じゃないし...」 津田「来てるんでしょ?名古屋鉄道の100系」 慎一「あぁ?」 津田「やらせてください、レインバトル」 津田「俺と、あいつの!!」 津田「!?」 重次郎「あら♡」 スススス... ガシッ 重次郎「逃がさないわよ」 津田「やめろ!!離せ!!HA☆NA☆SE!!」 重次郎「あたしを指差したってことは、どういう事か分かるわよね?」 津田「知らねーしお前じゃねえ!!」 重次郎「んも~ウブなんだから~」 一同「...」 津田「ああっやめろなにやってんだバカ!!」 津田「ダメだダメだそっちはダメだ!!」 津田「アッー!」 ブッシャアアアアアアアア!! 一同「...」 津田「...ふぅ」 一同「.........」 終
この作品はフィクションです。 実在の人物・団体・事故などとは関係ございません。 元ネタ 電車でD プロジェクトセカイ