サーキット⑬ 北池袋 「5100が前だった!!」 「アタマ半分抜け出したぁ!!」 きりたん「っかしーな...いっぱいっぱいじゃないですか?この私が...」 宗太郎「なあ栄太郎、お前舞子にどんな作戦考えてたんだ?」 栄太郎「『作戦』...というほどのものじゃないけどな...」 栄太郎「S-Trainsの5100は、よほど自分のマシンコントロールに自信を持ってるんだろうな...」 栄太郎「必要以上に、振り回しすぎるキライがある」 栄太郎「上手いことは上手いんだが、効率が悪い部分があるんだ」 栄太郎「後ろにいた方が、相手をじっくり見られるし、心理的にも優位に立てる」 羽島「なのに舞子は先行を選んだのか」 栄太郎「小細工なしで、真正面からぶつかりたいんだろう」 栄太郎「それはそれで舞子らしい...」 栄太郎「なんだかんだ、舞子はモチベーションで走る感覚派だからな...」 栄太郎「あとは、S-Trainsのドライバーがどのくらいクレバーなのかがポイントだ」 栄太郎「気づくのが遅ければ、舞子にチャンスはある!!」 上坂橋 ボッヘー... 翔太「...」 今田「どうした、ボーっとして...」 翔太「別に...」 imadayuki「好きなヤツでも出来たのか?」 翔太「なっ...!!んなわけねーだろ!!」 imadayuki・今田(図星かぁ...) 今田「誰なんだよぉ~、一体~」 ウリャウリャ 翔太「おっ...教えねぇよ...」 重次郎「もしかしてあたし!?」 翔太「お前ではない」 重次郎「ヒーン!!ダーリンの馬鹿!!もう知らない!!(泣)」 翔太「馬か?」 今田「お前なぁ...」 東武練馬 きりたん「くっ...何がむつかしいって、テンション上げて前のクルマ追おうとすればするほど、逆に力行を我慢しなきゃいけないっていうこのチグハグさが、辛いとこですよ...!!」 きりたん「にしても不思議ですね...思い通りに乗れてないのにこうしてついていけてる...」 きりたん「きっとあのDRCが理想的なベースメーカーになってくれてるからでしょうね...」 きりたん「今は我慢してついていく!!」 きりたん「やみくもに攻めるだけが能じゃないってコトでしょうけど...どっかでチャンス見つけないと...」 成増 ゴァァァァァァァァァァ!! 羽島「....」 羽島「何だろうな...直感だけどあの5100、なんか違うぜ...」 羽島「一見互角のバトルに見えなくもないけど、そうじゃない」 羽島「俺にはわかる...」 羽島「結構よくやってるが、レールファイトやるには線の細い走りだぜ...」 羽島「俺しかいねぇだろ!!あいつらを止めるのは!!」 和光市 ゴァァァァァァァァァァ!! ガキン!! ブオッ ゴァァァァァァァァァァ!! きりたん「?」 きりたん「なっ...!!」 舞子「...!!!」 キィン!! きりたん「フェイントで有楽町線に飛び込みましたが、まさかカブるとは思わなかったですね...」 きりたん「なんか変ですね...いつものバトルとは何かが違う」 きりたん「この不思議な居心地の良さは一体...」 舞子「すごい...後ろからのプレッシャーがドンドンきつくなってくる...」 舞子「こんなに近づいてギリギリのペースで走ってるのに、ウキウキするのはなぜ...!?」 舞子「楽しいよ...終わりたくない...!!」 舞子「線路が続く限り...どこまでもこのまま走り続けたい気分!!」 みずほ台 ゴァァァァァァァァァァ!! ギャアアアンッ!! きりたん「そういうことか...!!分かりました音街!!」 きりたん「情けない...なんでもっと早く気付かなかったんでしょう...」 きりたん「車体が軽いってのは大抵はアドバンテージですが...」 きりたん「上り勾配になるとそのアドバンテージが逆にアダになるんです!!」 ふじみ野 舞子「もうゴールは近い...このまま行けば二本目に入れる...」 舞子「一緒に行こうよ、きりたん...」 舞子「もっともっと高く飛ぼうよ!!」 上福岡 きりたん「ピョンピョン跳ねるウサギのダンスはここまでです!!」 きりたん「本物のバトルってやつを教えてやりますよ!!」 ゴァァァァァァァァァァ!! ガッ!! キィィッ!! 舞子「きりたん!?」 きりたん「っ...!!」 きりたん「軽い車体は軸重が小さく、粘着力不足を招きやすい」 きりたん「ましてやジャンプしてしまえば、力行も制動も出来ない」 きりたん「全くの無防備になるんです!!」 坂戸 ポジションは変わらず、5100がこのまま先行 大衆の予想通りの結果で、ダウンヒルバトルは決着した 嵐山信号所 舞子「ごめんね栄太郎...」 栄太郎「気にすんなって...最高の走りが出来たんだろ?」 舞子「うん...天にも昇る気持ちだった...」 宗太郎「お前らホント、誰でも良いんだな」 「それじゃあ、スタンバイしてくれ」 「1.2番線の列車を入れ替えろぉ!!」 宗太郎「無理すんなよ栄太郎...」 栄太郎「ああ...無理はしないさ」 バサッ ざわっ...ざわざわ... 翔太「えぇっ」 リン「えっ...」 栄太郎「無理はしないさ...」 栄太郎「無理をせず、勝ちに行く!!」 シャー... キキッ 桜並「あれっ?」 終
この作品はフィクションです。 実在の人物・団体・事故などとは関係ございません。 元ネタ 電車でD