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[ハチの話-番外編-]

CAcanvas_truffle•Created April 7, 2023
[ハチの話-番外編-]
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Instructions

Description

前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ ※今回も確認していません!ご了承ください! 「ついに今日が、大会決勝戦かぁ...!」 大会決勝戦の会場となるここ、バッテラストリートは、朝から大盛り上がりで、沢山の人が来場している。 私も皆と盛り上がりたいけれど、残念ながら今回は私はそれができない。 何故かというと――― 「おい!そこの機材の動作点検、終わってるか!?」 「ごめんなさい!今します!!」 そう。私は、これからバッテラストリートで行われる決勝戦・・・ ―――ではなく、決勝戦後に行われる『テンタクルズ』による音楽ライブに向けた、裏方の仕事をしているから。 裏方と言っても、私は、スピーカーなどのライブ機材の動作チェックが主な仕事。 元々機械には強いので、仕事を頼まれたときに動作チェックくらいはできるかな・・・と思った。 勉強でしばらく機械に触れていなかったし、久しぶりに触れるからワクワクもしていた。 ・・・けど今日はダメだ。 『さぁ!そろそろ大会の決勝が始まるぞ~!!』 ヒメちゃんのアナウンスが入る。会場がさっきよりも騒がしくなってくる。 「ハチちゃんも出るんだけどなぁ・・・あぁっ!!応援したかった~っ!!」 そうだ、この決勝にはハチちゃんもでる。 私がこの仕事を引き受けたときには、まだハチちゃんがこの大会に出場決定をする前だったので、ハチちゃんから大会に参加すると聞いた時は驚いた。 「まさかハチちゃんが参加するとは思わなかったもんなぁ・・・ハチちゃんすごいなぁ...バトルも上手いし頭はいいし...」 ハチちゃんは学校のテストでもいつも好成績をとっていて、大体いつも学年順位10位以上には名前がある。 自慢ではないけど、私もテストでは好成績をとれている方だと思う。でも、私は勉強をしているというよりは、機械について調べていく上で身についた知識なんかが、問題を解く上での手助けになっている気がする。 話が少しそれたけど、そんな訳で私はハチちゃんの大会の様子を見に行くことができない。 少し悲しいけど、私が大好きなアーティスト、テンタクルズのライブの裏方仕事に関われていると思うと、元気が出てくる。 「よーしっ、残りの仕事、頑張るぞーっ!!」 今の時間は昼前。朝から準備をして、仕事は終わりが見えてきた。 仕事が終わる時間はハチちゃんの試合が終わる時間帯とほぼ同じ。仕事が少し早めに終われば、試合終了からライブ開始までの時間の隙を縫って、会いに行くことくらいはできるだろう。 頑張って仕事を終わらせるぞ、と思っていると、ふとさっきのテストの話であることを思いだした。 あることというのは、受験だ。 中学三年生にもなると、とうとう受験という言葉が頭に浮かぶようになる。 でも、私の学校ではほとんどの生徒が受験ということについては考えていない。 それは、私達の中学は、いわゆる中高一貫校のような仕組みになっているからだ。 でも、校舎は別々。 話すと長くなるけど、本当に簡単に例えれば、"生徒全員が一つの高校に推薦される"ような感じ。 でも、私は、別の高校に行きたいと思っている。 その理由は、ただ一つ... 「機械について勉強するためッ!!!!」 周りにいたスタッフさんが一斉にこっちを見た。 まずい...大きな声を出し過ぎてしまった... スタッフの方々におじぎをして謝った後、私は残りの仕事をなんとか終わらせた。 もうハチちゃん達の大会は終わりを迎えているだろう・・・と思っていたけれど、私が色々考えて作業している間に周りのスタッフさんが残りの仕事をやってくれていたようで、予定よりもずいぶん早く仕事が終わった。 ・・・つまりどういうことかと言うと、大会の様子を見に行くことができるということだ!!!! 「まぁそれでも大会は既に始まっちゃってるし...途中からになっちゃうけどね...」 試合会場とライブ会場は少し離れているものの、バッテラストリートということは変わらないので急げばすぐに着くだろう。 私は腕につけている腕時計を見る。大会開始から少し時間が経っている。 「急げ急げ・・・!!」 私は駆け足で走り出した。 「・・・あれ?」 しばらく走って、もう試合会場付近のはずだけど...なんだろう?やけに静かだ。 少し疑問を抱いたけど、まぁ大丈夫かな、と思ってまた走り出した。 でも、試合会場に近づくにつれ、疑問が不安へと変わっていく。 「おかしいな...もう大会終わっちゃったのかな?」 不安を感じ、腕時計を見る...が、まだ試合途中の時間だ。 試合会場まで残りわずか...だけど、騒がしい声は一向に聞こえてこない。それどころか通り過ぎる人がどんどんと減っていく。 ・・・なんだろう、おかしい。 人の声は聞こえない。とうとう周りを見渡しても誰も見つからない。まるで時が止まったかのように、辺りは静寂につつまれている。 ・・・そう、時が止まったかのように。 真夜中の街のように。 何も、何も聞こえない。 「着いた...着いた、けど...」 会場には着いた。だけど、本当に何も聞こえない。人影すら見つからない。小さな物音一つしない。 「・・・本当に、時間が止まってるみたい...」 もしかして、試合は終わってしまったのだろうか?でもそれはおかしい、時計の針はずっと、ずっと試合途中をさしている。 ...ずっと。 ハッとしてまた腕時計を確認する。 ...さっきから何も変わっていない秒針。 動いていない。 もしかして時計が壊れた...?と思いすぐに確認したが、これといった不具合は見当たらない。 急いで会場の出入り口まで向かう。 出入り口は、試合終了後に観客が帰った後は閉めるように言われている。 「...あ、開いてる...!?」 出入り口が開いている。私は何も考えず、そのまま会場内へ走る。 観客席が見え始めた。人は座っているようだ...けれど、様子がおかしい。 皆、目を瞑って眠っている。 「大丈夫ですか!!」 観客席まで走り、声を掛けたけど、誰も起きない。 何度も何度も声を掛けたけど、誰一人として目を開ける様子はない。 「ハチちゃん達は...?」 リスポーン地点まで走った。・・・けれど誰もいない。 方向を変え、会場の真ん中まで走る。 「・・・!!」 人影が見えた。それにあれは――― 「ハチちゃん!!」 ハチちゃんだ。走りながら必死に呼びかけた。 ハチちゃんが、ふと振り向く。 よかった、ハチちゃんは起きてる! 「ハチちゃーーーん!!!!」 続けて声を出し続ける。ハチちゃんは振り返った後、私の方へ走ってきている。 人が全然いないこと、会場の周りがまるで時間が止まってしまったかのように静かなこと、会場の観客が全員眠ってしまっていること、止まった時計の針――、一体何が起こっているのだろう。ハチちゃんは何か知っているかな。 「・・・て!」 ハチちゃんの声が聞こえる。何かを大声で言っている。 「ハチちゃーーーん!!一体何が起きて・・・」 「逃げて!!!!」 私が言葉を言い終わる前に、ハチちゃんのとてつもなく大きな叫び声が耳に届く。 「・・・え?」 逃げる?一体何から? 今この場にいるのは、普通に考えれば私、ハチちゃん、ハチちゃんのチームメイト、敵チーム、そして観客。 でも今の状況から考えれば、観客は全員眠ってしまっているし、もしかしたら何か事件が起こっているのかもしれない。 それなら、逃げるとなると事件を引き起こした人から逃げるということになる。 ・・・でも、私が見た限りではこの会場の中央には、私と、ハチちゃん、そしてハチちゃんのチームメイト、敵チームの4人しかいない。 ハチちゃんのチームメイトであるカサネちゃん、エイト、ミントさん、そして敵チームのロット、カナ、アスカ、ホルの7人は、皆同じ方向を向いていて、こっちに来る様子はない。 ・・・・・・なら何から逃げるのだろうか? 「逃げて!!!!」 再びハチちゃんの叫び声が届く。 必死だ。声が鋭い。私が分からないだけであって、きっと何か事件が起きているに違いない。 何から逃げるのか分からなくても、ハチちゃんの叫び声を聞いて、この場にはいない方がいいということがなんとなく分かった。 『逃げる』。 私は動いた。とにかく逃げようと―――した。 だけど次の瞬間、目の前が真っ暗になった。 感覚を一気に失った。 何?何が起こったの? もしかして観客の人達のように私も眠ってしまったのだろうか? ハチちゃんの『逃げて』という鋭い声。 ―――最初の一言を聞いたときにすぐに逃げればよかった。 ハチちゃんの言葉に従わなかったことによって、もしかしたらハチちゃん達にまで影響を与えているかもしれない。 あぁ・・・どうしよう。 私のせいで。 "また"だ。 また―――また、 目の前に一瞬、なんだか懐かしい光景が見えた。 懐かしい、と感じたけれど、私はその景色を見た覚えがない。 なんだろう?今の光景は。 今度は急に目の前が真っ白になった。 真っ白になった瞬間、闇が消えた瞬間。 甘いような匂いと共に、心の中に恐怖と嫌悪、そして悲しさと寂しさ、悔しさが残った。 【続く...?】

Project Details

Project ID832356119
CreatedApril 7, 2023
Last ModifiedJuly 31, 2023
SharedJuly 31, 2023
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