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読み切り小説 独白

AMamiyokorin•Created May 16, 2022
読み切り小説 独白
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Instructions

これはとある少女の昔の古い記憶です。 はじまり、はじまり。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は「忌み子」らしい。 …幼いながらも私は理解できた「忌み子」と私を呼ぶ者 の目は確かに恐怖、敵意、害意、悪意__ そういった視線を向けてくる物が多かった …私はずっと孤独なのだろうか…何だか生きているのが馬鹿みたいだな。だけどタヒにたくない、生きていたい。 小さく、小さく、声を殺して泣いた。…足音が近づいて きた?だけど泣き疲れていた私は意識を手放した。 __ん?……ここ…どこ? 見渡すとどうやら小さな小屋らしい。だけど廃墟ではな いみたいだ。明かりも付いているし、掃除もされている 本当にどこ?確か監禁モドキ部屋から出て森の中を散歩 して、泣いて…あっ…それで誰かの足音がして………… うん。そこから記憶がない。つまり私は泣き疲れて寝て …記憶を辿っていると小屋の扉が開いた。「おや?目が 覚めたのk「ぎゃぁぁぁぁ!」心臓止まるかと思った。 「ちょっ、と…すまないね…驚かせるつもりはなかった んだけどなぁ」「…………驚いて…スミマセン…」話を聞くと 泣き疲れて寝てしまった私を運んでくれたのはこの人ら しい。見た目は動物を狩る「りょうし」の姿をしたおじ いちゃんだ。名前は好きに呼んでもらって構わない、と 言っていたので「じいさま」と呼ぶことにした。 じいさまは私にご飯をくれた。温かくて、美味しいご飯 を。「こんなに美味しいのを初めて食べた」、と言うと じいさまはとても驚いていた。そのあと何か言っていた けどご飯に夢中であまり聞こえなかった。食べ終わった あとじいさまは村の近くまで送ってくれた。そう言えば とじいさまは立ち止まった「君の名前を聞いていなかっ たのだが名前は何だい?」私は返事に困った。忌み子の 私に名前はない。黙っていると言いたくないのかと勘違 いしたのかじいさまはこう提案してきた。「言いたくな いなら言わなくていいよ。その代わり、別の名前を付け ようか」と。私がうなずくとじいさまは少し考えてから 私に名前を付けてくれた。 私の生活はじいさまと出会ってから変わった。具体的に 監禁モドキ部屋で朝食とも言えないご飯を食べ終わった あとにじいさまのいる小屋に行き、日が暮れるまでいるのだ。それだけで私の心は軽くなった。じいさまはある 意味で命の恩人だ。だって私に希望をくれたのだから。 ずっとこのままでいたい。普通に生きたい。この幸せな 日々が続いてほしい。そう、これからもこのまま続くと 思っていた。          あの日までは。 その日も私はいつものようにご飯を食べ終わったあと、 じいさまのいる小屋へと向かっていた。小屋につく頃に じいさまはいつも薪割りをしている。けど今日は薪割り をしていなかった。疑問に思って小屋の扉を開けた私は どんな顔をしていたのだろうか。…小屋の中は荒らされ ていた。嫌な予感がした。私の勘はよく当たる。鼓動が 自然と速くなった。私は村に続く道へと走った。 今までこんなに速く走った事があっただろうか。今まで こんなに焦った事はあっただろうか。お願いだから間に 合ってほしい。私は村に着き、そして違和感を覚えた。 「人が…居ない?」家の中に誰かがいる気配がしない。 その代わり村の中心にある広場にたくさんの人の気配が した。私は急いだ。近づくにつれ鉄くさいにおいが強く なる。………私の嫌な予感は的中した。広場の中央には じいさまが……「じいさまだったもの」が倒れていた。 そのあと何があったのかはあまり思い出せない。ただ、 気付いたら「村の人だったもの」が赤い液体の上に辺り 一面浮いていた。じいさまの一部はひろえるところだけ ひろって小さな袋に入れた。私は捨てた。村を捨てた。 そして私は自由を手に入れた。村の者たちの全ての命を 犠牲にして。忘れてはならない記憶。けど、全てを思い 出してもいけない記憶。だから捨てた。当時の記憶を。 じいさまという存在とじいさまからもらった名前以外の 記憶を私は捨てた。 忌み子という名を持つものは15の年に神のもとへ戻され る。人身御供だ。人身御供が行われなくても忌み子は15 でタヒぬらしい。ならば残りの人生をもがき貫いて生きて いこう。定められたタヒを覆そう。覆せなくても、誰かの 記憶に残ってみよう。いつかある、「幸せ」のために。 今日も私は、鈴は道を行く。 ―終―

Project Details

Project ID691040761
CreatedMay 16, 2022
Last ModifiedJanuary 13, 2024
SharedJanuary 13, 2024
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