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その者達を追いかけて[ハチの話-番外編-]

CAcanvas_truffle•Created April 1, 2022
その者達を追いかけて[ハチの話-番外編-]
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Description

前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ ※確認してないので変になってる可能性があります 「まって!エイト!」 私は必死に名前を呼んだ。 だが彼は戻ってこない。 そのとき私は物凄く後悔した。また大事な仲間がいなくなってしまった。 「・・・俺、追いかけてくる」 隣にいたハズミはそう言って立ち上がった。 「まって!ハズミまで行ったらダメ!私達はイカからの襲撃を守るように言われてるんだよ!」 私はハズミに必死に訴える。もうこれ以上仲間がいなくなってほしくない。 「でも・・・エイトはどうするんだよ!」 ハズミが怒っているような、泣いているような顔を向けてくる。 「私はもう誰一人としていなくなってほしくないの!」 このまま言い合いになると察した先輩のタコゾネスが、私とハズミの間に入る。 「ちょと、二人とも落ち着いて」 そう言われて私とハズミは黙った。まぁハズミはめっちゃこちらを睨んでくるが。 「ハズミ、君の気持ちは分かるけど、ナフの言ったように今はイカからの襲撃に備えなきゃ」 「・・・・・・」 ハズミは先輩にも何か言いたげな目を向ける。 正直怖い。 「そしてナフも。ユイは行方不明だけど、端末が見つかっているし、足跡も見つかっているんだよ」 「足跡はまだ消えていないから、追っていけばユイがいるかもしれないよ」 「・・・・・・」 なんとなく分かる。先輩達は私達を落ち着かせようとでたらめを言っているんだ。 「・・・はぁ、分かりましたよ」 ハズミはあきらめたような声を出した。きっと心の中では分かっていないだろう。 「じゃあ二人とも。襲撃に備えて」 そう言われて気づいたが、もう周りの先輩達は支度を済ませていた。 『・・・はい』 私とハズミの声がかぶった。ハズミがこちらを向いてなんとも言えない顔をしてくる。 なんですかその顔。めっちゃ腹立つんですけど...           ★★★★ 俺は何も言葉を発せず、支度を済ませた。 ちょくちょくナフがこちらを向いてくる。なんだよ、なんか文句あるか。 けどナフはずっと不安そうな顔をしていた。きっと二人のことが心配なんだろう。とくにユイに関してはいなくなったことが分かると一時間くらいぶっ続けで泣いてたし。 そのせいで足元がおろそかになって穴に落ちそうになってたし。 まぁ唯一の友達だったし、そりゃそうか。 俺は泣けなかった。泣いてる時間があったら探すぞ!みたいな感じでナフに突っかかっていた。 今思うととんでもない態度をとっていたな、と思う。 「・・・あれ?」 突如ナフが声を漏らした。少し声が震えているきがする。 ナフが向いている先を見ると、何か光っているものがあった。 ナフはそこに駆けていった。俺も追いかけた。 ナフはその光っているものを手にとった。遠くからはよく分からなかったが、近くで見ると、何か見覚えのあるもののようだった。 「これって・・・」 ナフが何か言いかける。ナフはこれについて思い当たることがあるようだ。 俺は見覚えがあるだけで何も思い出せない。 ナフはそれをポケットにしまった。どうする気だ。 俺はその気持ちを顔で表したが、ナフは「は?」とでも言うように睨みつけてきた。 いやだから何に使うんだって。そんなの持っていてなんか役に立つか? 思わず声で出そうになったが、それは先輩の声で声としては出なかった。 「デンチナマズが危ないぞ!」 え?ナマズが危ない? っていうかいつの間にまた奪ってるんだ? 俺はそう思ったが、周りの様子を見ると、どうやらかなり前からのことだったらしい。 どうりで最近機械の調子がいいと思った。 つまりイカはそのナマズを追いかけて来たってことか。 んじゃあ俺らが悪いじゃんか。 俺はずっとナマズの奪い合いは無意味だと思っていた。電力不足なのは大変だけど、そのせいで戦いが起こって欲しくない。 先輩達はナマズのある方へ向かっていった。 ・・・が。           ☆☆☆☆ 何か聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。 特徴的なビート。体が踊り出したくなりそう。 なんだか前に聞いたときよりも強烈に曲に吸い込まれる。 なんだっけ・・・この感じは・・・ 《や うぇに まれぃ みれきゃらひれ じゅり ゆ みれけらそん》 最初の一節で一気に曲の世界に吸い込まれた。そうだ、これは・・・! 《きれ ひゅり よりひるへにゅらへら》 《ぬんにゅら うねら ゆらうぇら にぃめらに》 思いだした、これは・・・"あのとき"の音楽だ! けど、あのときよりも気持ちが興奮する・・・ なんだろう、この感じ・・・ ナマズを持っている将軍、そして対面するイカ。 イカの髪型は短く、前髪の分け目は私達から見て左側。 身長から見て、私達と同じくらいの年齢の子。あのときのイカではないみたいだけど・・・ 将軍が上空へ逃げる。それを追いかけ、ライドレールに乗るイカ。 イカのブキが変わった。見慣れないブキ。 黄金色のそのブキは、光り輝いていて見つめ続けることが大変。 将軍の攻撃。一直線にイカの元へ。 どうするの?どうやって避けるの? なぜだか分からないけれど、私はわくわくしていた。 イカはすばやく攻撃をよけ、ブキで攻撃を返す。 あのときのイカに劣らない実力。もしかしたらそれ以上かもしれない。 「すごいなぁ」 思わず私は声を漏らしてしまった。けど、周りの先輩達の方が興奮していて、その声はかき消されてしまった。 「すげぇ」 隣にいたハズミもそう声を発していた。 やっぱりみんなもすごいと思うんだ。 ドォン、と音が鳴る。見ると、将軍が床に真っ逆さま。 危ない・・・と思ったけれど、どうやら将軍は無事のよう。 イカがライドレールから飛び降りる。そして、持っていたブキを将軍に向かって・・・ その瞬間、そのイカがえいっ、と言った気がした。 イカの言葉は分からないけれど・・・そう聞こえた。           ★★★★ 「・・・地上に行きたい」 気づいたら、隣にいたナフがそう呟いていた。 俺もそう思った。前のときも思ったけど、そのときよりも強く思った。 周りの先輩達は戦いが終わったあとも、まだステージを見ていた。 先輩達の視線の先は、イカもそうだけど、ずっと曲を歌っていたアイドルだった。 「もしかしたら・・・イカは悪者じゃなくて、私達に自由を教えてくれたのかな」 ナフが急にそんなことを言い出した。 イ、イカが悪者じゃない?何言い始めてんだコイツは。 「私・・・絶対に地上に行く!もしかしたら...そこに、ユイや、エイト、いなくなった仲間達がいるかもしれない!」 ユイとエイトがいるかは置いておいて、俺も絶対に地上に行きたいと思った。 このままじゃ、イカ達には絶対にかなわない。ずっと争いが続くだけ。 きっと、イカ達にはあって、俺たちにはないものがあるんだ。 ・・・もしかして、それが自由だと言うのか? そう思ってナフの方を見たが、ナフはそこにはいなかった。 「ハズミも行こう!地上へ!」 ナフは走り出している。向かっている方向はエイトが走って行った方向。 「ちょっ・・・!?」 何言ってんだよ!と言おうとしたが、どうしても反発できなかった。 気がつくと、俺の足は動き出していた。走っていた。 「たどり着ける保証はあるのかよ!」 俺はそう言った。すると、 「ないよ!」 と威勢のいい声が返ってきた。 「けど、前に聞いたことがあったんだ!あの伝説のイイダ=マリネさんが消えた理由!」 どういう流れでイイダさんの話になってんだ。 「そのときに、前線基地から、地上に出れるって聞いたことがあったんだ!」 「それ噂だろ!」 「まぁそういうこと!」 噂があってなかったらどうするんだよ・・・と思ったが、何とも言えなかった。 「っていうかこっちの方角に前線基地があるっていう証拠は!?」 「ないよ!」 また威勢のいい声が聞こえる。まったく・・・ ・・・けど、何も準備せず、急に走り出してきたが、なんだか地上にたどり着けそうな気がした。 絶対に、ということではないけど、なんだかそんな気がした。           ◇◇◇◇ 「だよね!そうだよね!」 青空の下、中学生二人組がカフェに入ってくる。 「いらっしゃ・・・ってお前らか」 高校生のアルバイトが二人組を見て呟く。 「おお!バイトくん!いつものよろしく!」 「私もよろしく!」 綺麗な笑顔が返ってくる。 「はいはい」 そっけなく高校生が言葉を返す。 「でねでね、ハチちゃん!それでカナさんに君も受験しない!?って言われたんだよ~!」 「そ、そうだったの!?」 「そうなんだよ~!で!私も受験・・・しようかなって!」 「え~っ!?ナフちゃんもするの!?」 「そうしようかなって!」 「私どうしよう・・・」 話に花を咲かせ、二人はあははと笑う。 「はい、カフェラテとアイスティー」 高校生が二人組が座った席の机にドリンクを置く。 「ありがとね~!!」 「バイトくんもバイト頑張ってね~!!」 二人組が輝かしい笑顔を向ける。 「バイトくんって呼ぶのやめてくんね?」 高校生がそう呟く。 「え~?」 「でもバイトくんって呼び慣れちゃってるし・・・」 「だからやめろって言ったろ!?」 中学生二人組があははと笑う。 「馬鹿にして何が面白いんだか・・・」 そう言いながらも、高校生は笑っていた。 「じゃあ今から名前で呼ぶよ!」 「そうしてくれるとありがたい・・・」 「じゃあ、ハズミくん!そう呼べばいいんだよね!」 「はいはいそうですよ」 高校生が呆れたかのようにそう言った。 【終わり】

Project Details

Project ID669660918
CreatedApril 1, 2022
Last ModifiedApril 17, 2022
SharedApril 17, 2022
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