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ハチの話 #21 -夢の中の愚か者-

CAcanvas_truffle•Created March 30, 2022
ハチの話 #21 -夢の中の愚か者-
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前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ ※また確認していません!ご了承ください! ※前回力を使い果たした(?)ので今回は短いです! 「インクリングって・・・一体何なんだろうな」 数日前のある日、ロットがぽつりとそんなことを呟いていた。 「へっ?」 アスカが一番に言葉を発した。 「そりゃ、インクリングはインクリングだよ!楽しいことが好きで、ルーズで・・・」 「ロットが聞いてるのはそういうことじゃないだろ」 ホルがカナにツッコミをいれる。 「なんで俺は生きてるんだろう」 「ちょ・・・どうしたの!?」 カナがびっくりしている。 「なんかロットらしくないよ!?そんなこといつも言わないじゃん!」 さすがにカナが違和感を覚える。 「そうだな・・・ちょっと変だなロット...なんかあったのか?」 「どうしたの?」 ホルもアスカも、何かが変だと思ったのか、心配し始める。 「ここ最近具合が悪いんだ」 「え?具合が悪い?熱とかあるの?」 「いや熱があったら今ここにいないだろ」 アスカが口をひらく。 「具合が悪いっていうのは・・・多分精神的なことなんじゃないかな?」 「え、あ、そういうこと?」 「うん」 アスカがこくりとうなずく。 「・・・よく考えるとここ最近の試合、ロットさ、キルが30キル前後だったよな・・・」 「そうだっけ?」 カナ達がそんなことを言っているとき、ロットは再び口を開いた。 「最近ずっと夢を見る。俺は誰かを追いかけていて、なんとかして追いつきたいのに、どんどん突き放されていく夢・・・」 「なんだそれ?」 ホルが首をかしげている。 「何度も何度も、その"誰か"に、俺は何かを訴えているのに、その誰かは無視するんだ、反応するとしたらほほえむだけ」 「誰なの?その人は」 カナが興味深そうにきく。 「・・・分からない、けど、懐かしい」 「一度会ったことがあるってこと?」 「・・・分からない」 カナとホル、アスカは顔を見合わせた。ふと、アスカがこんなことを言い始めた。 「これはただの仮説だけど・・・もし、もしもだよ、もともとロットがその人に会っていて、何かの拍子にロットが記憶を無くしているとしたら?」 「・・・」 カナ、ホルともに何も言わない。 「・・・もうこれはファンタジーの世界だけど...」 アスカがまた口をひらく。 「もし、時間が戻ってるとしたら?」 しばらく沈黙が続く。やがて、鼻をすする音がした。 「え?」 ロットの目から涙が出ていた。こんなこと初めてのことだった。もちろん、カナ、ホル、アスカは混乱した。 「ちょっ・・・本当にどうしたのロット!?」 カナがハンカチを差し出す。 「うわっ!?ハンカチがびっしょびしょ!!アスカっ!ハンカチある!?」 「ええええっ・・・あ、あったかなぁ・・・さっき濡れた手を拭いちゃってびしょびしょだよ・・・」 「んじゃあティッシュ!!」 「さっき使い果たした!!!!」 二人のやりとりを聞き、ホルがやれやれ・・・という顔をする。 「大丈夫だから二人とも」 ロットが涙を手で拭き、そう呟く。 「もう手遅れだから」 「カナさん!」 その声を聞き、カナが顔を上げる。 見ると、ハチ、エイト、カサネ、ミントがこちらへ走ってきていた。 「ロットさんは!?」 ハチがそう言うと、カナではなくアスカが、 「お医者さんが、大丈夫だって」 と答える。 「そ、そうなんですね・・・よかった...」 ハチがほっとため息をつく。 「っていうか・・・ロットには何があったんだ?どうして急に倒れたりしたんだ?」 ミントがカナにそう聞く。 「・・・最近、ずっとロット、おかしかったんです」 カナがそう言ってまた顔を下げる。 「なんか、自分の存在意義はなんだあああっ!!みたいな・・・?」 ホルがカナの言葉に続けて言う。 「えっと、つまり・・・?」 「え~・・・っと...説明が難しいなぁ・・・」 アスカがう~ん、と首をかしげる。 『つまり、自分が何故存在しているのか、分からなくなったってことだね』 聞き覚えのある声がし、ハチが後を向く。 「ウ~ン?でもぶっ倒れるくらいまで自分を追い詰めるかなぁ?」 「シャ、シャル!」 後には空中に浮かんでいるシャルがいた。 「おはよ~ハチちゃん!」 「もうこんばんはだけど・・・」 あれ?とハチが何かに気づく。 「っていうかシャルって家以外のところにも行けるの・・・?」 「え?もっちろ~ん!!」 「そうだったの・・・」 シャルがうん!!とうなずく。 「ハ、ハチちゃん、だれ・・・?」 ふとカナの方を見ると、三人ともおびえているかのような表情をしていた。 「あっ、え、ええと・・・」 カナ達がこのような表情をするのは珍しい。 「へ~!そこのお三方、わたしのコト、見えるの?すごい優秀だね!」 「いやどういうことだよ」 エイトの鋭いツッコミが入る。 「へ~!幽霊って本当にいたんだね!」 カサネがそう言ってシャルの顔を覗き込む。 「・・・わたし幽霊だって言ったっけ?」 シャルはハチの方を向いて言う。 「皆の前では言ってない」 ハチが横に首を振る。 「あ、もしかして幽霊じゃないの?な~んだ!空中飛んでるから幽霊なのかと・・・」 「あぁそういうこと・・・いや幽霊であってるけど」 「あ、そうなんだ!」 ハチの方を向いてカサネが言う。 「そこのお三方って・・・私も見えてるが・・・」 気がつくとミントもシャルの顔を覗いている。 「っていうことは、今ここにいるみんな、私のことが見えてるってことだね!そういうことだよね、そこのキミ!」 シャルが指を差す。 その方向には・・・ 「・・・俺が見えるって前提で話を進めないでくれるかな」 『・・・・・・ロ、ロット!?』 カナ、アスカ、ホルがひっくり返る。 「ちょ、どうしてここに・・・」 「病室に居たんじゃなかったの!?」 「おい、なんで出てきてんだ!?」 三人が同時に言葉を発する。 「無理矢理出てきてやった」 「・・・・・・」 しばらく沈黙が続いたのち、 『なにやってんだ馬鹿!?』 一斉に三人が叫ぶ。 「あ~っ!ダメじゃないですか!まだ治療終わってないんですよ!」 声のした方を見ると、看護師のようなイカがこちらに向かってくる。 「ほらほら!治療を再開しますよ!」 そうしてロットの手を取る。 「治療なんていい」 「よくないですよ!?」 ロットが面倒くさいなぁ・・・という顔をする。 「治療なんてなんの意味があるわけ?こんなの時間の無駄でしょ?早く帰らせてくんない?」 ロットの言葉を聞き、ハチはうわぁ・・・と思った。 こんなこと言うんだ・・・ 「この治療はキミの将来の為にもしなきゃいけないんだよなぁ・・・?」 気がつくと、ロットと看護師さんの後ろに、人がいた。 「いいから文句言わないで治療しようね・・・?」 その人は、にっこり笑ってはいたが、雰囲気が怒りで満ちているのが分かった。 「あ、お医者さんですか・・・ロットのこと、よろしくお願いします・・・」 カナがそう言葉を発する。 「・・・・・・」 医者のイカは何も答えなかった。 「あ、あの・・・?」 アスカが続けて言葉を発する。 「あっ、うんうん、任せてくださいね!」 医者のイカはにっこりと笑った。 さっきとは違い、怒りは消えていた。 「・・・じゃあ」 医者のイカは、視線を看護師に向ける。 何かを察したように、看護師のイカはこくりとうなずく。 「じゃあ、皆さん!ロットさんのことは引き続き治療しますんで・・・!」 看護師のイカがロットを連れて部屋に戻っていく。 「お願いします!」 カナがその言葉に応える。 「・・・えっと...」 看護師が去った後、ハチ達はどうすればいいかよく分からない状態だった。 「・・・お腹空いちゃった」 カサネがそう呟く。 『・・・うん』 その場にいる医者とシャルを除いて全員がこくりとうなずく。 「あ、あの・・・」 医者が言葉を放つ。 「皆さんお疲れですよね?ここのベンチではなく・・・あちらに座って待たれたらどうですか?」 「あ、ありがとうございます・・・」 まだ待たなきゃなのか・・・という顔をカナ、アスカ、ホルがしたが、三人は嫌だとは言わなかった。 きっとロットのことを心配しているのだ。 「つ、つかれた・・・」 「カナさん、アスカさん、ホルさん、私、おにぎりでも買ってきますけど・・・」 「お、おお、さんきゅ」 「ありがとねハチちゃん・・・」 そんな会話が遠のいた後、医者は呟いた。 「なんでお前がいるんだ・・・」 【第二十一話終わり 第二十二話に続く】

Project Details

Project ID668186766
CreatedMarch 30, 2022
Last ModifiedApril 25, 2022
SharedApril 25, 2022
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