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ハチの話 #12 -愚か者-

CAcanvas_truffle•Created November 24, 2021
ハチの話 #12 -愚か者-
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前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ 一言:イカの世界に味噌汁ってあるん???() ※確認してないので語彙がおかしい可能性があります 「私はエイトの闇で生まれたんじゃない」 姿がはっきり見えた。エスノとタスキがいる。 「エイトの闇を制御するために生まれた訳でもない」 エスノが言う。 「私の名はエスノじゃない」 タスキが笑った。 「ようやく分かったか、自分の存在について」 タスキがそう言った。 「自分を見つけ出せたらもう怖いものなんてない」 エスノがつづけた。 「お前が対でよかったよ」 「あれっ」 気がつくとエイトはベットの上で寝ていた。 (夢かな・・・) そんなことを考えながらハチはエイトの部屋を出た。 その日は夕飯も食べずにハチは寝た。 「ふぁ~...眠たい」 ハチはそう言いながら起きて、自分の部屋を出た。 すると、もうエイトが起きていた。 料理をしている。 「おはよ」 「おはよう、早いね、今日」 「ちょっと目が覚めちゃって」 エイトがそう言って出来た料理を運んできてくれた。 「いただきます!」 まずお味噌汁。 「おいしいよ!」 ハチはそう言ってお米にも手を出す。 「おいしい!」 そう言って笑ってエイトを見ると、エイトも笑ってくれた。 一切の悩みが無いように見えた。 (今でも闇で苦しめられてるはずなのに・・・) そう思って、ハチは少し悲しくなった。 「え、今日も学校に行くの!?」 ハチは驚いてエイトに言った。 エイトは昨日の事を一切覚えていないようで、 「え?だって昨日学校に行けたからね」 と言う。 (これは・・・どうすればいいんだろう・・・) ハチは腕組みして考えたが、やがて我に返って、支度をした。 学校にカサネは来なかった。 電話をしたが、聞こえてきたのはいびきと寝言で、何を言っているのかさっぱり分からなかったので、ハチは電話を切った。 「え、寝言」 エイトはそう言いながら爆笑した。 「だよね、あはははは」 ハチもつられて笑う。 「だって、むにゃむにゃむにゃむにゃ言ってたし、お腹減ったーとか、うどん落としちゃったーとか言ってたからね」 そう言いながらハチは笑った。 「お腹減ったも凄いけど、うどん落としたってどういう夢見てるんだろう」 2人はしばらくずっと笑っていた。 「ああ、やばいツボった」 そう言ってハチは深呼吸した。 「ぷっ、あはははははははは」 冷静になろうとしたが、すぐに思い出し笑いが始まってしまった。 「あ、やばい時間だ」 そう言ってエイトは席に戻ったが、まだくすくす笑っている。 「あ~、面白かった」 授業が終わり、ハチがすぐに帰るようにエイトに促した。 「え?なんで?え?」 戸惑うエイトの背中をハチは押す。 「いいから、早く帰ろう」 ハチはもう仕方なく、エイトの袖をひっつかみ、エイトを引きずって帰ることにした。 「いいいい痛い痛い」 エイトが言うことお構いなしにハチは引きずる。 「一回止まって!」 「え~」 そう言いながらハチは袖を手放した。 エイトは一瞬よろけそうになった。 「なんで早く帰らなきゃなの?」 「えっとね~それはここでは言えないかな~」 わざとらしくハチはそう言ってまたエイトの袖を引っ張る。 「えっと袖はやめてもらえないかな!?」 エイトは怒りながら言った。 「そういえばね、夢を見たよ」 エイトは足を止めた。 「ちょっと、夢の話はいいから早く帰ろ」 ハチはあせりのせいで足踏みしている。 「いや、これはハチちゃんに行った方がいいと思って」 エイトは真剣な様子で言った。 「なんかね、夢の中で、目の前にイカがいたんだ」 「へぇ、どんな人だったの?」 「それがね、長いゲソに、ピンクの目で、マントを羽織ってて、すごい俊敏に動くんだ」 「へぇ・・・」 長いゲソにピンクの目?マント??俊敏?? ハチの中に誰かの顔が浮かんだ。 気にせずエイトは続ける。 「何だか分からないけれど、僕はすごい怒ってて、イカに必死で伝えようとしてるんだけど、イカにタコ語は分からないみたいで、すぐに攻撃してくるんだ」 「・・・・・・」 「そして、夢が切れる瞬間に、イカが僕の首に向かって攻撃を入れた、っていう夢」 「それって・・・」 エイトが頷いた。 「そのイカは、ミントさんなんじゃないかって」 その言葉を聞いた瞬間に、ハチの手が震え始めた。 やっぱり、あの夢の事は本当だった? それとも本当にただの夢? ハチの頭に嫌な想像が走った。 ハチは何かを振り払うように首を振った。 「でも、マントっていうところで違和感を感じるんだ。ミントさんがマントを羽織るような人だったっけ、って」 そうだった、エイトにはミントがヒーローであることは言っていなかった。 「あ、あと、えと」 ハチは考えた。 このまま黙っていていいのだろうか? でも、ミントがヒーローであることを勝手に言ってしまっていいのだろうか? ハチはくちびるをぎゅっとむすび、黙ってエイトの腕をつかんだ。 「引きずるのは辞めてね!?」 ハチはすぐに手を離した。 と、途端にめまいが襲ってきた。 "ユイがね" "ユイちゃんがね" "ユイが" "ユイ" その名が頭の中でこだまする。 "ユイ"って誰? 私の知っている人? それとも―――― 「ハチちゃん大丈夫!?」 気がつくとハチは家に帰ってきていて、ベットの上で寝ていた。 「あれ?私外にいたはずなんだけど」 ハチが起き上がって首をかしげると、 「ハチちゃんいきなり道に倒れたんだよ!?慌てて急いで家に帰ってきて」 エイトの右手に体温計が握られている。 「え!?私熱ある!?」 ハチは驚きのあまり布団を投げ飛ばしてしまった。 「うおっ」 エイトはスレスレで避けた。 「だって、倒れたし!一応!」 「いいからいいから!」 ハチはそう言ったものの、よろけてベットに倒れてしまった。 「ほら!」 エイトがハチのおでこを触る。 「うわ熱っ!?」 「え、本当?」 ハチは信じられなかったが、何だか寒気がしてきて、 「う、もう寝る」 そう言って布団をよろけながらとり、 寝た。 「ハチー?お~い、お見舞いに来たよ~」 カサネの声がする。見ると、時計が4時をさしている。 丸一日寝たようだった。 「いい~?入るよ~?」 キィとドアが開いた。カサネとミント、その後にエイトが続いて部屋に入ってきた。 「大丈夫?ハチ」 カサネが椅子を持ってきてベットの横に座った。 「あ、うん、昨日ほどではないかな」 ハチは起き上がろうとしたが、ミントが慌てて止めた。 「まだ完全に復活したわけじゃ無いんだから無理しないで」 ミントを見て、ハチはハッとした。 エイトの顔。 少し無理しているように見える。 ハチはカサネに向き直って、 「ちょっとミントさんと2人にさせて」 と言った。 「なんで急に」 ミントは首をかしげた。 「ミントさんに聞きたいことがあるんです」 「何?」 ミントが聞き返す。 ハチは勇気を振り絞って言った。 「ミントさんが言う『パトロール』って何なんですか」 「なんで急にそんなこと聞くんだ」 「私が最近見た―――、夢―――というか、幻というか―――、それに、ミントさんがヒーローの姿でエイトくんに攻撃してる夢を見て」 ミントは何かを察したように目を見開いた。 「エイトくんも夢にミントさんみたいなイカが出てきたと言っていて。自分に攻撃をしてきたと言っていて」 ミントは一瞬固まったが、やがて横を向いて、 「今は、深海メトロのタコ達の見回りをパトロールとしてしてる」 と言った。 パトロールの事を話したみたいだった。 だがハチは『今は』という言葉を聞き逃さなかった。 「じゃあ、『昔』は?」 ミントはその言葉を無視して、 「ほら、メトロのタコ達は消毒されてるだろ。だから、何するか分からないから」 そう言った。 ミントはハチに向き直ると、 「昔はパトロールとは言わなかった」 と言った。 「私はタコツボバレーでタコを狩ってた」 ハチは黙ったままだった。 「そのときはタコは悪者だって、いけない奴らなんだって、思ってた。けど違ってた。ハチみたいに、魂にシオカラ節のグルーヴを宿している良いタコというのを知ったから」 ミントはうつむいた。 あの日見た夕焼けが浮かんできた。 そこでミントが泣きながらハチに謝っていた。 『私はタコは悪い奴しかいないと思っていた。けど、ハチのような、シオカラ節のグルーヴを宿したタコなんてものがいるなんて知らずに「タコ」は悪いモノだと勝手に決めつけてた』 『ごめん・・・』 「それに私は偽物だったから。本当のヒーローじゃなかったから。本当のヒーローはヒロ・・・ロットで、私は代わりのヒーローだったから」 ミントの目から涙がこぼれた。 「ヒロがいなくならなければ、私は―――」 ハチはとっさに言った。 「そんなことないです!」 ミントが顔をあげた。 「そんなこと・・・絶対にないです!ミントさんは本物のヒーローです!2年前だって、私がミキサーに閉じ込められてるとき、助けてくれたじゃないですか!」 ハチは自分で言ったくせに驚いてしまった。 記憶の端にあった、メトロでの事が一気によみがえってきた。 でも、とミントは続けた。 「私はタルタル総帥なんかに洗脳されて、司令を捕まえて、ハチを襲って、皆に迷惑かけた愚か者だ!」 その後に、ミントは小声で、 「こんな薄っぺらな自分が腹立たしいよ」 と呟いた。 ハチは、ミントさんが自分の事を『愚か者』だなんて思っていたことを知って、腹の中がむずむずしてきた。 「愚か者なんかじゃなりません!薄っぺらなんかじゃありません!ミントさんにはミントさんらしさがあります!"3号さん"は!私に学校に行くということを与えてくれました!」 しばらくの間ハチは息を切らしていた。 ミントはびっくりしたような顔をしていた。 「もう、自分をおとしめるのはやめてください!」 最後にそうハチは言った。力を振り絞ったので、すこしよろけている。 「・・・分かった、もうしない」 ミントは笑った。 「何だか叩かれたような気がしたよ」 しばらくして、ミントは夢についても話してくれた。 心当たりがあったらしい。 でも、まさかそれがエイトだとは思っていなかったようだった。 「エイトには謝った方がいいのだろうか」 ミントはそう言ったが、ハチは、 「まだはっきりとした証拠はないですし・・・」 ミントは頷いて、カサネを連れて帰っていった。 「センパイ、何話してたんですか~」 カサネがミントを指でつつく。 「何も~」 ミントはわざとらしく言った。 「いやいや絶対に何かある・・・ん?」 カサネが立ち止まった。 ミントも立ち止まる。 「あれって・・・」 【第十二話終わり 第十三話に続く】

Project Details

Project ID606359310
CreatedNovember 24, 2021
Last ModifiedNovember 27, 2021
SharedNovember 27, 2021
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