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ハチの話 #11 -記憶の欠片-

CAcanvas_truffle•Created November 23, 2021
ハチの話 #11 -記憶の欠片-
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Description

前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ ※この作品の始めに少し過激的な言葉が出てきます ※文章力がない可能性があります カサネの目には、思い出したくない風景が移っていた。 "この不細工。お前なんかこの世にいなきゃいいんだよ!" "泣いたって誰も助けてなんてくれないよ?さっさと消えろブス" "痛いんならやり返して見ろよ" カサネは思わず目を瞑ってしまった。 だが、次の言葉で嫌な気持ちは吹き飛んだ。 "何やってんだそこの悪ガキ達!" "その子を離さなければどうなるか分かってんのか!?" カサネは目を開いて、目の前の光景を目にした。 幼い自分の周りにいる悪ガキ達に、2人のボーイが襲いかかっている。 "いい加減この子への暴力をやめろ!" "なんでだよ!こんな馬鹿いらないだろ!" "もういい!お前らに用はない!お前達が消えろ!" ドッ 2人が悪ガキを倒してくれた。 するとすぐに幼い自分に2人が駆け寄り、 "酷い傷だ、すぐに手当てしてやらないと" "ごめんね、僕たちにはこれくらいしか出来ないんだ" と言ってくれた。 "家は?" 幼い自分が首を横に振ると、 "じゃあ、僕たちの家に来る?" と言ってくれた。 目の前の光景が変わって、2人と自分が手をつないでいる光景に変わった。 "ユウ兄ちゃん!見てみて!お花が咲いてるよ!" "本当だ、綺麗だね" "この花の名前は何かな?" "何だろう?シンに聞いたら分かるんじゃないかな?" "シン兄ちゃん!この花の名前ってなあに?" "それはね" シンと呼ばれたボーイが嘘をついたように言った。 "かさねだよ" もちろん、その花はかさねという名前ではない。 だが、シンというボーイと、ユウというボーイが、カサネを喜ばせようとして言ったに違いなかった。 「今、2人は何してるんだろう―――」 カサネはゆっくり目を瞑った。 「なんで?どうして?どうして3号さんとエイトくんが戦っているの?」 ハチは目の前の光景が信じられなかった。 「なんで―――?」 ハチが手を伸ばすと、ミントとエイトは消えて、そこにガールが現れた。 「お前には記憶障害があるな?」 そのガールは、不思議なオーラを放っていた。 「え?」 ハチが聞き返すと、ガールは、 「さっきの声の正体、分かるか」 とさらに聞き返してきた。 ハチは、首を横に振った。 ガールは少し困った顔になると、 「それはお前の記憶の欠片だ」 と言った。 「記憶の欠片?」 ハチがそう言うと、 「それすらも覚えていないのか」 と言われた。 「え?」 「2年前を思い出せ」 「あっ」 2年前、地下の深海メトロでナマコ車掌に言われたことをハチは思い出した。 『ネリメモリーは、記憶の欠片を練ったモノでス...』 「思い出した!」 ハチがそう言うと、ガールは頷いた。 「私の名前はタスキ。『タスキ』の名は、記憶の欠片と記憶の欠片を繋ぐ、『たすき』になってほしいという研究員の思いだ」 タスキはそう言って、ハチを見つめた。 「け、研究員?」 ハチが困惑すると、タスキは、 「しばらくすれば分かるさ」 と言って姿を消した。 しばらくすると、ハチの付けている金のつまようじが光り始めた。 「何?」 すると、その光はハチの手の中に入り、固体となった。 タコゾネスと、タコの女の子のネリメモリー。 (どこかで見たことがある気がする) ハチはそう思ってネリメモリーを見つめた。 すると、視界がまたどんどん暗くなっていった。 『うわあっ!?』 ハチとカサネが同時に声を上げたその拍子にハチが後ろにのけぞってしまった。 「ぬ゛お゛っ」 「だだだ、大丈夫、ハチ!?」 「うん大丈夫大丈夫...」 ハチはそう言ってカサネを見た。 「っていうかカサネも大丈夫!?泣いてるよ!?」 「えっ」 カサネが慌てて目をふく。 「だだ、大丈夫、ちょっと嬉しかっただけ」 「?」 ハチは不思議に思いながら、手の中を見つめた。 ネリメモリーがある。 (夢じゃ無かったんだ・・・) ハチが手の中を見つめたので、 「どうかした?」 とカサネが聞く。 「いや、何も」 慌ててハチが手を背中に隠す。 「っていうか何話してたか忘れちゃったね」 「そうだね――――って、え?」 「え?」 ハチが聞き返す。 「ってことは今の走馬灯じゃないの?」 「ふぁ?」 「え、じゃあ夢?ん?幻??」 カサネがほっぺをつねる。 「痛っ」 「そりゃそうでしょ」 ハチが苦笑する。 「じゃあ、今のはハチも見てたんだね」 カサネがまだほっぺをつねりながら言う。 「う、うん??」 ハチは困惑しながらも頷いた。 「は~...今2人はどうしたんだろ~...」 カサネがそう言うので、 「2人って?」 と思わずハチは聞いてしまった。 「えっ?」 カサネはびっくりしながら言ったが、しばらくて、 「ううん、何でもない」 と笑った。 ハチはカサネを家まで送り届けたついでに、リーグマッチの大会の会場によった。 (そういえば2年前、エイトくんとカサネと、ミントさんと一緒にリーグマッチの大会に出場したことがあったな...そのときは、今回とは違って小さな大会だったから、覚えていなかったんだな...) とハチは思いながら会場を歩く。 と、そこにあぐらをかいて座っているタコがいた。 髪型はポニーテールで、インクカラーは青のタコガール。 ハチは、 「あの」 と声をかけた。 すると、 「ん?」 と言ってタコが振り向いた。 「あれ?キミ、4組の朝倉波知さんじゃない?」 とタコは目を見開いて言った。 「なんで知ってるの!?」 ハチはびっくりして声が裏返ってしまった。 タコはフフフッと笑って言った。 「私、2組の海菜譜。ナフって呼んでね!」 ナフがそう言って笑った。 その瞬間、ハチに声が聞こえた。 "ユイってチャーが上手いよね~!いいな~!" ハチが返事をしないので、ナフが 「お~い?」 と言いながらハチの顔の前に手を振る。 我に返ったハチは、慌てて 「あっ、ごめんごめん、ボーッとしてた」 と言った。 ナフは頷くと、 「私ね、1年生のときからキミのこと気になってたんだ~!だから、今話せて嬉しい!」 と言って笑った。 「そうなんだね!私も嬉しいよ!」 ハチもつづけて笑う。 しばらくしてハチが、 「あ、そういえばなんでここにナフさんはいるの?」 と言った。 ナフが、 「ナフでいいよ」 と言ってつづけた。 「私ね、大会の会場の点検担当なの。だから、今回線が繋がってるかどうか点検してて」 とナフが言った。 「えっ」 「ほら、ここ」 見ると、ステージの床の一部分が開いていて、その中にコードやら何やらが詰め込まれている。 「すごいね、機械に詳しいの?」 ハチがそう聞くと、 「う~ん...なんかね、機械に詳しいって言うか、機械いじりが好きなんだよね!パソコンを1から作ったりとか!」 ナフが笑って言う。 「誰かに教えてもらったの?」 ハチがそう言うと、ナフは少し寂しそうな顔になって顔をそらした。 「私の友達で、機械いじりが好きな子がいてね、その子、機械いじりだけじゃなくて、バトルも上手かったんだ。一番強いって言われてた人に負けないくらい戦えてて。なのにね、ある日突然、その子がいなくなっちゃったんだ。大切な友達が行方不明になっていることに心配して、探しに行って。それから、その子とは一回も会ってない」 そう言って、ナフはハチを見た。 「その子ともう一度会えるといいね!」 ハチがそう言って笑うと、ナフの沈んでいた顔も次第に晴れて、 「うん!」 と言ってナフも笑った。 「ただいま~」 すっかり外も暗くなって、ハチは家に帰ってきた。 いつも通り返事はない。 「エイトくん、調子はどう?」 ハチがそう言いながら、靴を脱いだとき、誰かが咳き込む音がした。 「エイトくん?」 嫌な予感がする。 急いでハチがエイトの部屋に入ると、エイトがベットから転がり落ちて、咳き込んでいるのを見た。 部屋の電気はつけて出かけたはずなのに、部屋の電気は消えている。 エイトがまた咳き込んだ。 ハチの脳裏に何かが横切った。 "この光景、どこかで見たことがある" 次の瞬間、エイトの影から何かが飛び出してきた。 そして、時間が止まった。 「・・・また」 誰かが喋る。 「また、闇が強くなった」 つづけて、また別の誰かが喋った。 「だからお前を特訓してやったんだ、成果は出てる、時を止めれたのだから」 誰かが喋った。 「でも、いつ覚醒するか分からない」 そしてこう言った。 「私が生まれた理由が分かったよ」 【第十一話終わり 第十二話に続く】

Project Details

Project ID605701960
CreatedNovember 23, 2021
Last ModifiedNovember 26, 2021
SharedNovember 24, 2021
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