前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ 『大会本選の出場者を発表するぞ!』 『今回は16チームが出場決定です!楽しみですね~!』 今日はハイカラニュースで大会について詳しい説明がされていた。 放送が入ると、おお~!という声と共に、 「駄目だった~!」 という声や、 「やった!入ったよ!」 という声がちらほら聞こえた。 『それでは今回の本選のルールが決まったのでお伝え致します!』 イイダがそう言った後、ニュースのモニターが変わった。 『今回は全試合累計で15の試合があるぞ!日数は4日間だ!一日4試合くらいあるってことだな!』 ヒメがそう言って手をバンザイのポーズにする。 『今回は、準決勝までは4人で試合をします!ですが準決勝、決勝は2人で試合をするという特別ルールとなっています!』 イイダがそう言うと、 『よく考えてペアを組むんだぞ!』 とヒメが言った。 スマホでニュースを見ながら、 「は~...眠いな~...」 とカサネがそう言ったので、 「どうしたの?」 とハチが聞くと、 「昨日、11時近くまで起きてて。んで4:30に目が覚めちゃって。ああ~...眠い~...」 とカサネが言った。 「それは11時まで起きてた自分が悪い―――」 とエイトが言いかけると、 「ド正論言うな~~!!」 とカサネが言った。 しばらくして、ハチが気がついたように 「そういえばなんで今日はエイトくんも学校に行くの?」 と言った。 エイトは 「なんかミントさんに言われた」 と言った。 「え?なんで―――」 ハチが不思議そうに首をかしげた。 「それが僕にも分からなくて。急にメールが送られてきて・・・」 ハチは、「そっか・・・」と言った。 放課後。 ハチは学校の屋上で1人、考え事をしていた。 ミントが複雑な顔をしていたこと。 ミントから聞いたロットのこと。 その後のミントの行動。 (なんでロットさんは3号さんに黙っていなくなってしまったんだろう...そして再開したときも、3号さんの質問に対しての言葉―――) ハチはずっと考え、考え続けたが、やがて集中力が切れて、 「仕方ないや、今日はもう帰ろう」 そう言って、歩き出そうと後ろを向いたときだった。 「えっ!?エイトくん!?」 エイトが屋上から校舎内に入る階段の前に立っていた。 「ちょっとここに来たくなって」 エイトが笑った。 2年前の笑いとは全く違った、自由で、楽しそうな笑いだった。 「エイトくん、ここ最近様子が変わったけど、何かあった?」 ハチがそう言うと、エイトは笑って何かを言おうとしたが、急に表情を変えて、自分の腕をさすった。 「どうかした?」 ハチが心配になってそう聞くと、エイトは急に倒れ込んだ。 「エイトくん!?」 ハチがびっくりしてエイトに近づくと、エイトは咳き込んだ。 苦しそうだった。 「!」 気がつけば辺りは暗くなっており、エイトが苦しくなるのも分かるくらい、屋上は真っ暗闇になっていた。 「急いで家に戻らないと」 ハチはエイトをかついで、すぐに校舎内に入った。 「ハチ、今日ちょっと一緒には帰れなそうっ!?」 カサネの声がハチを見た瞬間に裏返った。 「ど、どうした!?エイトがどうかしたのか!?」 カサネが駆け寄ってくる。 「今ここはエイトくんにとって危険だから早く帰らないと!」 ハチが必死になって言うので、カサネはハチの言葉の意味が分からないまま、 「待って、急ぐんなら手伝うから!?」 と言った。 「で、でも今日は一緒には帰れないって―――」 「いやいや、そんなこと言ってる場合か!?」 カサネもハチも混乱していたが、ともかく学校から出ることを優先した。 「これで大丈夫―――」 カサネが額の汗を拭いて、エイトをベットの上に乗せた。 「家まで来てくれてありがとう!?」 ハチが変なテンションでそうカサネに言った。 「いやいや、そんなことよりエイトが心配だからね」 カサネがまだ汗を拭きながら言った。 「で、何があったの」 カサネがそう言った。 ハチはエイトを見てから、カサネに向き直って、 「実は―――」 と話し始めた。 「なるほど、エイトにはその『闇』ってのが宿ってるわけな、んで、それは日が強すぎても、暗すぎても強くなってしまうと」 ハチはコクリと頷いた。 「今まで、エイトが休んでいた理由ははそれだったんだね―――」 ハチは、 「うん」 と頷いた。 「最近は体の調子もよかったみたいだし、3号さ―――、ミントさんに言われたこともあって、今日は学校に行ってみようと思ったんだと思う」 ハチがミントの名前を言い直しながらそう言った。 カサネがうんうんと頷いて、 「確かに、今日のエイトは楽しそうだった」 と言った。 「でも、じゃあなんで屋上なんかで倒れたんだ」 カサネがそう言うと、 「屋上の周りが真っ暗だったの」 とハチは言った。 その言葉を聞いた瞬間、カサネが、 「でも、教室の外は明るかった」 と言った。 ハチはその言葉が信じられなくて、 「今、なんて?」 と聞き返した。 「え?だから、教室の外は明るかったって―――」 カサネがその言葉を言い終わる前に、カサネとハチの視界が真っ暗になった。 『!?』 ハチとカサネが声を出すと、視界は黒から青へ、青から白へ変わっていった。 ハチの耳に、誰かの声が鳴り響く。 "あぁ、私もユイみたいにチャーが上手になれたらなぁ" "教官の腕とユイの腕、どっちが上手いんだろう?" "ねぇ、見た見た?あの子。ちょっと上手いからって偉そうに" "あんなの気にしなくていいんだから" "キミと腕試しをしてみたくてね、どうだ?受けるか?" "すごいよユイ!教官と戦えるなんて!ううん!すごかったよ!今の戦い!" "どうかな、ユイ君の髪型。カールさせてみたんだ" "すごい似合ってるよ!ユイ!" "教官が―――行方不明になったって" "ユイまでいなくならないでよ?" "ユイ、どこ行くの?" "ユイ?" "・・・ユイ?" しばらくして、何も聞こえなくなった。 そして、目の前に何かが現れた。 「!」 長いゲソと、ピンクの目。 その前にはタコが。 「何―――?」 だが、2人の姿がはっきりと見えた瞬間、ハチは信じられなくて自分の目を疑った。 「3号さん―――?どうして――――」 目の前には、ミントがエイトに最後の一撃と思われる攻撃を入れた様子がうつっていた。 「なんで――――?」 ―――――――次回、全てが動き出す――――――― 【第十話終わり 第十一話に続く】