前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ ミントがいつもいる場所といえば、パトロールか、ミントの家だった。 (必ずそこにいるはず―――!) ハチは真っ先に家に向かった。 ―――――――――――――――――――――――― いつもなら鍵がしっかり閉まっているはずの扉が、すぐに開いた。 「3号さん」 ハチがそう言いながら扉を開けると、 「来るな!!」 という大きな声とともに何かが落ちる音がした。 「3号さん!!」 ハチは扉を開けて部屋に入り、物音がした部屋に入った。 そこにミントはいた。だが様子が違った。 酷く息切れしていて、足元には何かが落ちていた。 よく見ると、手が震えているようにも見えた。 「3号さ・・・」 ハチがそう言いかけると、ミントはしゃがみこんだ。 ハチはミントの近くに行き、どうしたのかを聞いた。 次に出てきた言葉は、衝撃の言葉だった。 その頃だった。 エスノはとあるところにいた。 タスキの部屋だ。 エスノは深く息を吸うと、 「タスキ!タスキはどこだ!」 と叫んだ。 すると、 「うるっさい!」 という声と共にタスキが現れた。 「んで何の用?お前は何しに来た」 タスキは退屈そうにそう言った。 エスノは真剣な顔つきになると、 「エイトの闇はどんどん強くなってるぞ」 と言った。 「あっそ」 タスキはそう言い、手を前に掲げたので、 「待て!まだ話は終わってない!」 とエスノは叫ぶ。 それに対し、タスキは、 「なら特訓をしてやろう」 と言い、指を鳴らした。 「ロットは―――私の友達だった」 そう言われたとき、ハチは訳が分からなかった。 ミントは続けた。 「そして先輩だった―――」 そして、続けてこう言った。 「私は偽物だ」 ミントがまだ普通のイカだった頃だった。 ロット―――通称ヒロは、new!カラストンビ部隊の3号として活動していた。 ある日、ミントは誤ってマンホールに入ってしまった。 そこで、アタリメ司令と、ヒロと出会った。 ミントは教えられたことをすぐに吸収した。 だからヒロとも話が合い、仲良くしていた。 2人で一緒にタコワサ将軍も倒し、一段落しているときだった。 ある日ヒロは姿を消した。 1ヶ月以上絶っても 一向に戻ってこなかった。 そこでアタリメ司令はミントを"正式な"3号にした。 ミントはそれには満足していなかった。 自分がヒロの"代わり"だと思っていたからだった。『ヒロが戻ってくれば自分は何者でもない』 そう考えるようになった。 だが、それから、ヒロは現れることがなかった。 「そして月日が経った」 ミントも腕が上がって、立派なヒーローとなっていた。 そんなとき、アタリメ司令に遠いところへパトロールに行くからついてきて欲しいと言われる。 ミントは承知した。 そして、ある日、タチウオパーキングに似たステージにたどり着いた。 『何かいる、倒してくる』 ミントはそうアタリメ司令に言うと、スタート地点から飛び降りていた。 だがそれはタコではなく、ヒロだった。 『どこ行ってたんだよ』 『その数ヶ月で口調も変わったな』 『しるか』 ヒロはミントをじっと見つめ、 『やるべきことがあったから』 と言った。 そのとき、タコゾネスが壁の影から出てきた。 『!』 タコゾネスはこちらに気がつくと、一目散に逃げ出した。 『まずい、報告される』 ミントが追いかけようとすると、 『止まれ』 とヒロは言った。 『そんなんじゃ意味ないぞ』 『けど―――』 ミントが言いかけると、ヒロはすぐに口を開き、 『集団が出来たら倒しに行くんだ』 と言った。 しばらくして、タコの集団が出来てきていた。 『今だ』 ヒロがそう言うと、すぐにミントは飛び出した。 瞬きの瞬間にミントは周りの敵を倒し、次に1秒程で殆どの敵を倒した。 『見られたぞまだいる』 ヒロがそう言い追いかけてくると、 『いい、私がやる』 ミントは追いかけたが、上手く巻かれてどこに行ったか分からなかった。 ヒロが上に登れと言うので、ミントは上に登った。 『!』 タコ2人がこちらに気がつき、すぐに逃げ始める。 『逃がすか』 ミントは力強い蹴りで大きくジャンプし、タコを追いかけた。 3m以上はあった。信じられない跳躍だった。 『追い詰めた』 タコ1人がもう1人に何か言うと、言われた方のタコは下に飛び降りていた。 『そこをどけ』 ミントはタコに言ったが、タコは何も言わずにミントに攻撃をしてくる。 『もうお前には用はないよ』 ミントはそう言い、タコに攻撃をいれた。 ミントは下に降りたタコを探そうと下を見たが、もうヒロが倒していた。 『一件落着―――』 そう言いかけようとしたときだった。 後ろに何かの気配を感じた。 後ろを振り向くと、タコがまたいた。 そのタコはシューターを振り回し、ミントに襲いかかってきた。 ミントは間一髪でよけると、攻撃をした。 タコは何か怒っているようだった。 だが泣いていた。 ミントにタコ語で何かを言うと、ボムを転がした。 続けてスペシャル缶を拾う。 『まずい』 ミントが攻撃をいれようと間合いを詰めたときだった。 下から何かの気配を感じた瞬間に、目の前が真っ暗になった。 「それからは何も覚えていないよ 何も思い出せないんだ 思い出したくないんだ」 ハチはミントに何か言おうと思ったが、かける言葉が見つからず、ただ1回だけ、コクンと頷いた。 ミントはハチを玄関まで連れて行き、こう言った。 「ロット――ヒロのことは、私が必ず止める」 「どういう意味ですか」 「今のヒロは別人だよ 目の色や髪型も違う、何かを必死に隠しているみたいだよ」 「?」 ハチが首をかしげると、 「自分を隠しているんだよ―――ロットは」 とミントは言った。 「いきなりなんなんだ!」 エスノはタコボーイの姿からガールの姿に変わると、襲ってきたタスキをはじき飛ばした。 「まぁ対応能力は良い方みたいだな」 とタスキは言うと、持っていたチャージャーをローラーに持ち替えた。 「でもそれだけじゃ駄目だ」 ローラーの横降り曲射。ローラーの形は普通のローラーのように小さいのに、範囲はダイナモよりも大きい攻撃。 「!」 エスノは一瞬姿を消し、またすぐに現れた。 「力に頼ってちゃ駄目だ」 続けてバケツに持ち替えると、タスキは素早く間合いを詰め、攻撃を入れる。 「・・・っ!」 エスノは目をつぶって手のひらを前に出すと、バリアをはった。 タスキは何かを察したようで、攻撃をやめると、 「そのスペシャルはシティでしか使えないはずだ」 と言った。 「そんなの知らない・・・」 エスノは目をあけ、手を握ると、バリアは砕けた。 タスキは にやっと笑うと、 「つまりお前は―――偽物のスペシャルが使えるってことだな」 と言った。 【第九話終わり 第十話に続く】