これまでのお話↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/projects/ 「ん・・・?あれ!?」 ハチは飛び起きた。 今、自分がいるのは学校の屋上。 ・・・信じられない。 しかも、隣にはエイトが。 同じく、戸惑っているようで、周りをうろうろしている。 「あれっ」 なぜか顔が真っ赤。 「なんでそんな顔が赤いの?w」 ハチは、笑った。 「え、うん、いや、うん」 「あはははw」 「なんで笑うんだぁ~!」 「笑うでしょうw」 「笑うなぁ~!」 「あはははははw」 ハチは、この時間が、永遠に続くといいな、と思った。 空は、夜空。 星が綺麗だ。 「あのさ、いつまでココにいられるの?」 「え?・・・2時まで」 「今は・・・12時だね、あと2時間かぁ」 「・・・さびしいね」 「さびしい?そういうことではないんだけど」 「え?そうなの?」 「お~~~~~~いw」 こんな幸せな時間、聞いたこともない。 この時が、ずっと、続きますように。 エイトの体が光り始めた。 あと少しで逝ってしまうらしい。 「ねぇ、エイト君って、どんな果物が好き?」 エイトがびっくりしたような顔で言った。 「今その質問?」 「別にいいでしょ?ダメなの?」 「えっ・・・いや・・・ダメって事では・・・」 「じゃあいいでしょ?」 こんな、くだらない話をして、最後を迎えたかった。 涙を流さずに、見送りたかった。 でも、涙が溢れてきて、止まらない。 「ちょ、ちょ!?ハチちゃん!?」 「あ、ごめんね、何でも無いから」 でも、エイトの足を見たら、涙が止まらなくなった。 悲しい。 エイトの足のヒザの部分から下が、消えてきている。 寂しい。 そう思った。 「ごめん!泣かないようにって思ってたのに・・・泣いちゃった・・・」 「なんで謝るの!?謝らなくていいよ?」 「で・・・でも、ごめん!」 「・・・」 「なんか・・・寂しくって」 「寂しいんじゃんかぁ~お~い!」 「もぉ~~~~~!!」 二人で笑い合った。 エイトのウデが、消えてきている。 笑っていたが、やっぱり、堪えられなくて、ハチは、エイトに飛びついた。 「はっ!?ハチちゃん!?」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!わあぁぁぁぁぁぁ!!」 涙が今にも流れ出しそうだった。 「やっぱり、悲しいんだよぉ!!寂しいの!!わぁぁぁぁぁぁ!!」 「ハチちゃん・・・」 エイトは、言った。 「大丈夫、また会えるよ」 「もう会えないよ!!」 「生まれ変わるよ」 「誰だか分からなくなるよ!?」 ハチは、ちょっと笑いながら言った。 その時、ハチの目から涙がこぼれた。 それがエイトの手に落ちる。 次の瞬間、エイトの体が光った。 消えていっている訳ではなかった。 逆に、戻っていった。 ハチは、後によろけ、思わず目をつぶってしまった。 目を開けると、そこには、いつものエイトが。 「!?」 ハチは驚きのあまり、涙が止まった。 息も止まってしまったのかも知れない。 それくらい、嬉しかった。 「ハチちゃん、僕の体・・・今・・・どうなってる?」 エイトが、手や足をキョロキョロ見ながら言った。 ハチは、エイトに飛びついた。 さっきとは違った気持ちで。 「よかった・・・よかったぁぁぁぁぁ!!」 また、次から次へと涙がこみ上げてきた。 もう、この涙は、永遠に止まらない。 そう思えた。 その時、エイトの頭には、こんな言葉が過ぎった。 今、言わなければ。 もし、これが一時的なもので合っても、そうじゃ無くても。 今しか言えない。 この気持ちは。 「ハチちゃん、聞いて」 ハチは顔を上げた。 真っ赤な目だった。 「あのね・・・」 今、躊躇ったら言えない。 エイトは思った。 タスキに聞いた、あること。 それは、こうだった。 告白して、嫌われないか。 そんなの、皆考えることだ、と、タスキは言った。 でも・・・とエイトは思った。 でも、今しかない。 エイトは決心した。 深呼吸。 そして、言った。 「好きだよ」 「ずっと、ずっと、ハチちゃんが、記憶を無くす前から」 これは、私達の、2年前のお話です。 【END】