これまでのお話↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/projects/ 「何!?だれ!?あなたは――――」 だが、ハチはどんどん引き釣り込まれていく。 ドン。 どこかに落ちてきた。 「い...てて・・・」 痛い。落ちた来たということは、地下に来たのだろうか。 足が何か、変な感じだ。 折ったのだろうか。 「ここは・・・?」 「何しに来た」 ハチは後ろを振り向いた。 フードをかぶった、誰かがいる。 「あ、あなたは?」 「わたしはエスノ」 「エ・・・スノ?」 エスノが振り向く。 一見、タコのボーイに見える。 「あぁ、今、ボーイかと思ったな?わたしは男でも女でもない。自分でも分からないのだ。造られた時からそうだったからな」 じゃあ、何者だ。 「わたしは、タコでも、イカでもない。すぐ変わるからな、よく分からない」 まるで心を読んでいるかのようだ。 「ここは?」 「ここは・・・うん、そうだね、簡単に言うと、闇だとか憎しみだとかが溜まっているところだ」 全然簡単じゃないが???? 「普通の人には害が出る。だから、今、お前は足にバンドが付いているだろう」 バンド? ハチは足元を見た。 右足に、赤く光った薄いものが巻き付けられている。 エスノは付けていない。 「あなたは大丈夫なの?」 「あぁ、わたしか?まぁ、ここの「闇」だとかは、仲間だからな」 「仲間?」 そもそも、「造られた」とは、どういうことなのだろう。 「わたしは、アイツの闇から出来たからな。ここにいても害はない」 アイツ? 闇から出来た? 「誰の?」 エスノは言った。 「エイトだよ」 ハチは固まった。 「えっ?」 「ハチちゃんのこと?」 「そうだ」 「あの子は彼女ではないよ!?」 「でも仲がいいみたいだが」 エイトの顔が真っ赤になる。 「ほら、やっぱり」 「ち、違うっ!」 「耳まで赤くなってるぞ」 「なってない!」 「なってる」 「なってない!!」 「じゃあ、頭から出てる煙は?」 「はぇ!?」 エイトはひっくり返った。 「ははははは!!やっぱり!」 タスキが腹を抱えて笑う。 「う、ウルサイ!!」 「もうスゴイことになってる」 「ウルサイ!!」 「もう真っ赤を通り超して『血』!!」 「血ではない!!」 なんかの言い争いが始まった。 「そんなに好きなら告白すればいいのに」 「ムリだ!!そもそももう戻れないだろっ!!」 「私だって、恋は放っておけないからな、それは特別に許す」 「ムリっ!!」 「なんで?」 「だって・・・」 「あぁ、そうか、前に失敗したのか?」 「し、シテナイ!!」 「いや、したんだろう」 「シ~テ~ナ~イ~!!」 「大丈夫だ、だって今のハチと昔のハチは違う」 「な、何を言うんだっ!!」 「だって、彼女は今、記憶をなくしているのだろう?自分が誰だったかも分からないはずでは?」 「そ、それは・・・」 だが、少しは気づいているはずだった。 自分の昔の名前くらいは。 「大丈夫。そこは『あっち』も保証してくれる」 「あっち?」 「エイト君の?」 「そうだ」 「どういうこと?」 「覚えていないのか?アイツ、昔から『闇の力』を持っていただろう」 「え?」 力? 「昔から、右手が動かない、だとか、左足が痛い、だとか」 その瞬間、ハチの頭を記憶が過ぎった。 霞がかっているような、記憶だった。 「エイ・・・トく・・・ドコ?ここに・・・い・・・の?」 「エ・・・・・トくん?」 「来・・・ダメ!!」 「どうし・・・の!?」 「今は来ちゃダメ!!今・・・や・・・く・・・」 「エイ・・・・・・どうし・・・」 「ダメ!!」 途切れ途切れの記憶だった。 「痛っ・・・」 「目が・・・・・・から・・・・・・来ちゃダメだって・・・・・・のに・・・」 「な・・・で・・・ず・・・とかくし・・・・・・の」 「それ・・・ごめ・・・・・・」 「あった・・・のかもしれない」 「だろう」 「でも・・・どうして隠しているの?」 「それはアイツの気遣いだ」 「気遣わなくてもいいのに・・・」 「でもそれはアイツなりの優しさだ」 「でも・・・」 ハチは思った。 なんで自分は、記憶をなくしてしまったのだろうと。 ただ、ずっと考えていた。 最終回まで、あと1話。 ♡、☆、よろしくお願いします!次回は最終回前!お楽しみに!!