触れるだけで崩れていく。 白くなってしまった街。 既に私以外の人間の気配を感じられない。 白い地面を踏み締める音が響く。 私を邪魔者扱いする奴らは既に白くなった。 私を無視する彼らは既に砂になった。 私を裏切ったあいつは既に骨になった。 私は? 私は未だ色を持って動いている。 お前らの仲間にはならない。 青い空が目に染みる。 そのうち、この街の空も白くなってしまいそうだ。 私を見捨てた空。 ご近所の人だ 庭の手入れをしていたら白くなってしまったらしい 良い人だったのに テンは黙ってしまった。 私を傷つけるものは皆白くなってしまったから、テンの仕事はもうないのだ。 ここを出るまでテンは休むという。 人じゃない あれは人じゃない 見覚えのある 心優しい彼の形をしただけの何か 得体の知れない何か じゃあ何だと言うんだ 怪物? 幽霊? 白い手 白い髪 白い服 白い町を歩く僕に相応しい、新たな身体 カワウソは彼のせいで“昏睡”してしまいましたが 僕の仕事が予定より早くやってきたようですね