=本編= 「...は?」 フードを外す。元の街。フードを被る。不気味な街。どうゆう原理でこうなっているのかがわからない。けど。 「行ってみようかな。」 好奇心がそそられた。あの男が落ちて大丈夫だったのだから、私だって大丈夫なはず。フェンスの上に登り、飛び降りた。どんどん地面が近づいていく。 「...って、やっぱ怖すぎる!!!!!」 目を閉じて、手に持っている鎌を振る。目を開けると、地面スレスレのところで「水の床」が張られていた。歩くとピチャピチャと音がなるが、弾力があった。 「尽きた水縹の高校生に水の鎌渡すのはセンスの塊でしょ...皮肉られてる気もするけれど。」 私は再び鎌を振る。今度は進行方向に。弾力性のある水が設置され、空中を歩けるようになっていた。私はその水を上に設置し、坂になるようにする。そしてサーフィンのように進む。これ、結構いいかも。めっちゃ爽快感抜群。私は、男が向かったであろう方向へサーフィンしながら向かう。もちろんサーフィンなんて今までしたこと無いけど。(え?)しばらく進んでいたら、男の背中が見えた。地面に着地して話しかける。 「あの...」 「...ってうわ!ホンマに来たんかいな!?...日和ってこーへんと思ってた俺がアホやったわ...w」 すると上から「真紅の鎌」を持った、漆黒のローブに身を包む、ヤンキーのような風貌の女性が隕石のように降ってきた。 「どーんっと...。よっす!あ、君が新入り?アタシのことは「骸先輩」と呼びな!よろしく!」 「あ、はい、よろしくお願いします。」 ほんとに勢いが隕石級の人だった。 「骸、棺は何処行ったん?」 「え?知らない。」 「一緒に来たんちゃうんかいな!」 「今日は別行動だよ...。」 そう言うと骸先輩は腕につけていたスマホを手に取り、話しかけた。 「棺、どこにいんの?」 <上。> え?と思いながら上を見ると、家の屋根に人が座っていた。 「降りてきて〜」 そう男が言うとその人物は降り、こちらに来た。暗さで見えなかったが、私より背が低く、純白の鎌を持ち、漆黒のローブに身を包んでいる少年だった。私達3人と違う点は、目元を包帯でぐるぐる巻きにしているところだった。骸先輩が紹介してくれた。 「こいつは棺。まあ、仕事歴は長いから棺先輩でいいと思うぜ。」 「あ、はい。」 未だに名前がわからない男が仕切るように言う。 「よ〜し。これで全員揃ったな。今日の刈り取りはあいつや。」 そう言って鎌を暗がりの中歩いている人に向けた。黒いものが、人物の周りにまとわりついていた。その人物とは。私が手紙をもらったことを相談した友達の一人。ギャルのような風貌をしたあの子だった。 「...え?」 「あれ、友達やった?」 「...はい。」 「あ〜...」 「でもやるしか無いじゃん。」 「それもそうやねんけど...学級委員長、大丈夫か?」 「...あ、はい。」 「じゃあ、俺と骸と棺で隙を作るから、あんたはその隙に、彼女にその鎌の持つ方を突き立てればええから。」 「わかりました。」 「...棺も行くんだよ!」 棺先輩は骸先輩に引きずられながら向かっていった。 棺先輩と骸先輩が纏わりついている黒いものを取り除いていく。剥がれていく黒いものを男が絡め取って鎌に「吸い取らせて」いた。 かなり黒いものが減り、友達の姿が明確に見えるようになっていた。男がこちらへ向かって叫ぶ。 「学級委員長!今やで!」 水の床を張りながら滑って進む。そして私は、友達の体に鎌の柄の先端を突きつける。私の意識は吸い込まれていった。 「...ここは...?」 するとどこからか声が聞こえた。 <<今あんたがいるところは彼女の心の中や。彼女の闇と向き合うのが今日のあんたの仕事やで。>> 「...なるほど。」 見渡すと真っ黒な空間が広がっていた。そこにポツリと、スポットライトのような一筋の光りに照らされた友達が居た。地面に座り込んでいる。私は近づき、触れようとした。パシッと、手で跳ね除けられた。 「触らないで」 「...」 私は、ただ隣りに居ることを選んだ。隣りに座った。 「...なんで居るの」 「だって触らないでほしいなら、隣りにいる分にはいいかなって。」 「...そんな屁理屈みたいなこと、考えられたんだね。」 「まあね。」 しばらく沈黙した。2〜3分ほど経ったときに、彼女の方から口を開いた。 「あんたが羨ましかったんだよねぇ...私。」 「羨ましい?」 「だってあんた、勉強もできて友好関係も良好。そのうえ告白されたんでしょ?私にはないもの、全部持ってるもん。」 「...あの手紙、恋愛関係じゃなかったよ」 「え?マジ?」 「変なバイトの勧誘だった。」 「流石に草」 そして私は、誰にも言ったことのない心の内を明かす。 「私もね、羨ましかったんだ。」 「私のどこが?」 「友達とスイーツビュッフェ行ったり、好きなこと沢山できたり、分け隔てなく接することのできてる所。」 「...やろうと思えばできるじゃん。」 「ううん。私は一度成績が良かったからって高望みされてるんだ。失敗なんて許されない。完璧な私でいないといけないの。 「だから遊びになんて行けないし、趣味も趣味じゃないようにしないといけなかった。学級委員長という立場のせいで、少しよそよそしい話し方に皆がなっているのも、嫌。」 「...あんたもあんたで苦労してんだね。」 「...ねぇ、今度勉強教えてあげよっか?」 「え?」 「その代わり、どこかに遊びに行こう!」 「...そんなのでいいの?」 「持ってないものと持っているものを分け合えたら、いいんじゃないかなって。」 「もちろん行ってあげる!いつでも。」 「ありがと!」 「こちらこそ!」 「なんかスッキリしたわー...人に話すって大事なんだな。」 「そうだね」 そう言って笑いあった瞬間、意識が戻っていった。 目を開けると、もう完全に友達から黒いものは消え去っていた。私の仕事がうまく行ったみたい。 「やるじゃん新入りちゃん!」 骸先輩に飛びつかれた。 「ホンマにやりおった....」 「いや、勧誘したのはあなたじゃないですか...。」 棺先輩はずっと無口だった。冷たい...。 「ささ、帰るで〜」 「え?」 「俺達のアジトに。」 「裏の世界へいらっしゃ〜い」 「えぇ...」 続く。 =あとがき= どうも皆様こんにちは。RINBERUと申します。 前回よりはすこーし短めですね。長すぎても見にくいですもんね。ちょっと反省しました。
#小説 #RINBERU #all #あなたの闇、刈り取ります。 #あな刈り