1972年5月2日製作 2度押し推奨 無断転載禁止 動画時間 88秒（1分28秒）
この争乱で1000万人が死んだ。 その中には自分の甥の家族や友人もいた。 それは一方的な国の殺戮だった。 皆、本来自分たちを守ってくれる軍隊に銃殺され、秘密部隊が開発した化け物に食い殺され、秘匿するには異常なほどまでの爆弾で爆殺された。子供にすら生きる権利がなかった。 だが国は反建国派が内乱を起こし、鎮圧。30万人が死亡したと発表した。 彼らの尊厳はおろか、生きている証拠さえ抹消された。 唯一の救いというのなら、争乱が起きる前、中国に対抗しつつ、まとまりを作って世界有数の発展国になるという適当な建前で反建国派が減ったことだろう。 皮肉だが、それがなかったら犠牲者は1000万人より増えていたかもしれない。 愛する人を殺された私は争乱後すぐに軍人を辞めた。そして何とか寮を退く寸前、このビデオのもととなる動画を獲得できた。 さっき見たのは、私が編集した動画だ。私が見つけたときには、すでに人々は黒く塗られていた。 もうわかる。こんなことをしたのなら、映像を流出させたなら私は殺される、と。 もしかしたらこれから先、永遠にこの争乱が明るみにならないままになるかもしれない。 でも私はそれを恐れていない。 永遠なんてのはないんだ。 奴らは永遠に争乱を隠したがってるが、私がいる時点でそれは叶わない夢になった。 これを見ている君へ。 私はもうじき死ぬ。同士たちの仇を討てないまま死ぬ。だが君はやってくれると信じている。我々の、私たちの仇をとってくれると信じている。私の祖父がやったように… この映像を見た以上、今までの生活はできない。だから、ニューギニア島に言ってみてくれ。あの日、反建国派の全員が殺されたわけではない。私が知っている限り、3万人の同志が生きている。きっと、君を丁重に匿ってくれるだろう。 頑張ってくれ。応援しきれないほど、応援している。 私はそれまで待っておくよ。 いつでも、待っている。 1972.5.12 ソルバート・セルバンデス
