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影に生きる傀儡 第陸話 感情

SIsigure1231•Created February 14, 2025
影に生きる傀儡 第陸話 感情
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Instructions

第陸話 感情 「無能力者でも、先生みたいになれますか?」 クラス中の視線が集中する。 陰でせせら笑う者もいれば真剣な瞳で事の顛末を見守るものもいる。 私は残酷な真実を告げる。 「無理でしょう。」 「・・・っ」 わたしは甘い幻想を見せられるほどやさしいわけではない。 「そう・・・ですか。」 一人、また一人と嘲笑しだし薄気味悪い笑いの渦へと訓練場が包まれていく。 「ありが・・・」 「でも、」 私は去ろうとする彼女にもう一つの言葉を告げる。 「あなたの中にはいますよ。能力がね。」 「へっ・・・?」 私が告げたことに素っ頓狂な声を上げる。 クラスの笑いも止まっていく。 「あなたも訓練すれば開花しますよ。間違いなく。」 そう念を押すように言う。 「えっと・・・」 「開花させたいですか?」 「・・・はい。」 せめて本人の希望に沿うようにしよう。 今のままでは間違いなくダメだった。 私が言わなければほとんど気が付かなかったであろう小さな蕾。 だが、確かに開花しようとしている兆候が見られる。 「それではさっそく1v1やりましょうか。」 そう言って私は立ち上がる。 「あなたが一撃でも私に入れたら勝ち、あなたが気絶したら私の勝ちです。」 私はお互いが準備ができたのを確認し、始めの合図とともに一気に気絶させにかかる。 だが、一気に詰めすぎたのか、直線的に動きすぎたのか左足を止められる。 今度は刀を動かしつつ右足であごを蹴り上げる。 しかしそれも受け止められる。 「???」 私は結構困惑している。 なんで私の速度に反応できるんだ?能力なしで? 以外にも反応速度、頭の回転が速い。 飛んでくる一撃も重い。 私は思わず、頬がほころぶ。 これがあれか・・・楽しいっていう感情か。 その瞬間私ははじけんばかりの笑顔を浮かべる。 楽しい、楽しいなぁ。久々だ。この高揚感。 昔親父と鍛錬を進めていた時、同じ感情を感じていた。 視界の端で露優様が驚いたようにこちらに目を向ける。 そしてそのまま思うが儘一撃を叩き込む。 「もっと強くでいい!考えると同時に叩き込め!」 私がそう叫ぶと驚いたような顔をするも、一気に反応速度が加速する。 私もそれに準ずるように加速を繰り返す。 数分後 先ほどの勝負は私の勝ちで終わった。 だが、すごく楽しかった。 手加減していたといえど、能力が開花すれば柴風さん負けてもそこまで劣るわけではない実力へと成長するだろう。 「ふぅ、ふぅ・・・」 「お疲れ様。今回は力量を図るためでしたが、楽しかったです。この実力ならあと三週間もしないうちに能力が開花するでしょう。」 「ありがとうございます!」 そして私はその場に授業が終わるまで居座るのだった。 授業後、私はふと彼女の名簿を取り出す。 親は何物でもない一般人。 「・・・不死星 燈(ふしぼしあかり)、天性のものなのか、努力の賜物なのか。わからんな。」 「どうしたんでい?」 いつも通りルガがいつの間にか後ろに立っている。 「・・・よくわからないやつがいた。意味が分からない。」 「あぁ、おめぇの速度に完全に反応しきったやつか。」 「ん。」 「勝負を楽しんでた割にはそんなこと考えてたんだな。というか、あいつの能力、まちがいなく『あの人』に匹敵するだろうな。」 「たぶんな。」 私はそうやってルガと話しながら資料をあさり、各生徒の訓練メニューを立てる。 重点的に立てるべきは四人。 露優様、不死星燈、風磨仁楓、そして国から危険人物として認定されている白菊麗良(しらぎくれいら)。 一人一人が特異すぎる。 「なんだか、嫌な予感がするんだ。」 そうやって何もわからないまま何もできないままなのはいやだ。 「気持ちはわかるが、急ぎすぎてもどうにもならねぇぞ?」 「わかってるんだけど・・・急ぐしかないだろ。」 そういいながら私は資料を戻す。 決めた。 「あいつらを単独訓練に連れてく。」 「・・・あそこに連れてくんか?」 「行くしかねぇだろ?」 私はその人に電話をかける。 「・・・『時雨』」 数日後 「おにょほー。久しぶりだな。」 その日、私たちは生徒を連れ時雨のところに連れてきていた。 「あれ、ルガは?」 「ルガなら・・・」 そういって後ろを見ると・・・ 「うげぇ・・・」 「車酔いです。」 「あいつって酔うんだ。」 「まぁ寝不足もありますけどね。」 そういいながら生徒たちを誘導し、訓練場のほうに寄せる。 「この人が・・・」 「時雨です!よろしゅうなー!」 話をさえぎって自己紹介すなと思いながら、今では昔とは違うこの人、情報屋『如月時雨』 実力は紫風様のお墨付きの上に一対一での戦闘はルガを超える。 「今日は一人一つ任務をこなしてもらう。こいつから受け取るからなかなかに性格が悪いのがあるかもしれないから気を付けて。」 私はそう言ってざわめく生徒たちを横目にルガを荒く担ぐ。 「それじゃ、頼みますよ。」 そう言い残し、私はここに来ていた紫風様のもとへ歩く。 「・・・やっと来たか。ニエノ!」 そうはにかむこの人の笑顔の理由を私は知らない。 次回 第漆話 2つの目覚め。

Project Details

Project ID1134085423
CreatedFebruary 14, 2025
Last ModifiedApril 20, 2025
SharedApril 10, 2025
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