第八章 第一の神社、そして優しさは変わる 「すみません…大丈夫ですか?」 俺と姉ちゃんが起きたのは、ふかふかの布団だった。けど、俺はすぐにその人に聞いた。 「よ…陽はどこ…ですか…?」 思い出した!救急車に姉ちゃんと俺は運ばれていたんだ。そうか、陽はいなくなったのか…そして『成人したばかりの女性』が俺の姉ちゃんになって助けてもらったのか…。 「陽…誰の事ですか?」 「…ごめんなさい。ちょっと出かけてきます、本当は駄目ですけど、どうか許してください」 もう姉ちゃんに迷惑かけたくないからね。 「どこへ?」 「神社…です。俺の知り合いには、自分の身を捨てて俺のためにいなくなってしまいました。もう、ここへは戻りません。……助けてくれてありがとうございました」 本当にもう、ここへは戻らない。俺は一人で行った。誰にも、迷惑をかけないようにね!…目指すは一つ目の神社。現在地は『来宮』ここから500m…ぐらい離れたところにある。 24分後、優しさを取り戻すために神社に向かう最中だった。すると… 「あった!」 こ、これを壊すのか…。うーん、陽の字が汚くって読みずらいっちゃ読みずらい。まぁ、まずは簡単な方法でやってみる。 「いたァッ⁉…ま、まぁ流石に頭突きじゃ無理だよね…」 アアっ。もっともっと硬い物を探さないとォ!硬い物を想像しろ! (か、硬い物と言えば…あ!あれがあったか!) 俺は自分の体では無理だと思ったから、武器を作ることにした。想像したのは、ハンマーだ。 「この場所で一番デカい岩は…。見つけた!」 『つづれ石』だ。とっても神聖な石だが…。もう!呪いに掛かってもしーらない! 「…ごめんなさいッ!」 『ごめんなさい』で済むなよ!…と思うが、やらないといけないんだから、しょうがないじゃない。でも申し訳ないと思って60cm切り取った。 「あとは木の棒だけ。これもデカい木じゃないと、バランスが崩れるから…」 俺は神社から一番近い木に岩を付けて揺らした。どうやって付けたかって?…それは言わない約束だよ⁉ 「うぉぉぉおおおらあぁぁッ!」 …壊れた。あぁ。もうめっちゃ疲れたー! でも、何だろう。何かが心の中に入った感じがする。まぁ取り合えず、やったぁ~! 第九章 姉と地図と俺 「…えぇーと。次は発言とかなんちゃら陽が言ってたな。よし!発言の神社だ!」 場所は来宮から562km離れた…『中柳』? うーん…地図あんま使ったことないから分からないや。でも、多分ここじゃないかな。 「すみません…この辺に新しくできた神社ってありますかね?」 「神社ですか…確か、地図を誰かが持っていたはずですよ」 …アレ?この人、どっかで見た気がするけど 「ね、姉ちゃん⁉…姉ちゃんだったら、神様になってる人もわかるよね。誰かわかる?」 姉ちゃんだったらこれで分かるはず! 「陽の事?じゃ、敏明…ってことになるね。…あのね。私めっちゃ探すの苦労したんだよ。助けてくれた人に聞いたら、『北にあの人は行きましたよ』って」 マジか…。『内緒にしてねッ☆』とかあれほど言ったけど… 「ゲホッゲホッ…、ふぅー。まぁkmが分からなかったから会えてよかったよ!」 第十章 発言の力 しばらく歩くと、看板に『央柳この先真っ直ぐ』と書かれたものがあった。 「残り約100mって書いてるよ。もう少し!」 100mか。すぐなのかな?…よくわかんないけど、次だ次! 「意外と近いからね!…大丈夫、大丈夫。…ちなみにさぁ、龍神は陽だけど、もとに戻せないもんかな。龍とかを祀ってる寺とか神社とかないかな?」 そういえば、そうだった!人間に戻したいんだよね。…罪悪感すごいから。 そんなことを話しているうちに、央柳に着いた。スマホが繋がらない異世界では、ここに住んでいる人達に聞く手段しかない。 「すみません、ここら辺に新しい神社ありますか?」 いろんな人に頼ってるけど、誰も耳を貸そうとする人はいなかった。けど12分後、ようやく聞いてくれる老人が見つかった。 「えーっと、小さな神社?」 「…新しい神社です」 全くもう!老人ってこんなんだから難しいんだよ! 「そんなものここら辺にはあんまないけどよ、新しい神社は東にあったべ」 この人、何人?まぁ… 「ありがとうございました!本当に…」 『東』ねぇ… こっちかな? 「違うよ!東は、あっち!」 あっぶねぇ!道間違えるところだった… 大体、『広原町』ってところにあるみたい。結構進んだ。40分ぐらいかな?…疲れているのかな。 「敏明!神社あるよ!」 「ど、どこどこ…あった!」 意外とアッサリ見つかるもんだな… 「さぁ敏明。今すぐ壊しなさい!」 「いや。もう大丈夫…あれ?何か聞こえる…」 古誇の言葉のように聞こえるが、どこからか声がささやいてきた__ 《あなたは終わる___》 《あなたは地獄に落ちる___》 《いや___永遠の終わりに落ちてしまえ!》 おい、俺の悪口言うなよ!何だよ………もう! 〈があああぁっ!〉 そんな叫び声のおかげか、急に悪口が消えた。それに…神社が割れた⁉ 「…もしかしてさ、敏明。今の声、魔じゃない?」 し、知ってたのか…。でも、詳しくは知らないだろうから教えてあげようか。 「ね、姉ちゃん。魔は呪だよね。俺はさ…魔がたくさん着いてるんだよ」 「そうなんだ!魔は少し知ってたけど。…でも、何でそんなことを話したの?」 「それは今、全身から何かが抜けていったんだ。もしかして…」 俺が言いかけた時だった。横隣りからすごい声がした。 「逃げるな!敏明についていた魔だろう?なぜたくさん着いていたのか。理由を!」 第十章 『魔』 《窶ヲ縺昴l縺ッ險?縺医〓縲ゅ◎繧後r遏・繧翫◆縺代l縺ー縲∵?繧呈ョコ縺帙?》 こんな声も、陽が言ってたな…。古誇かもしれない…。ていうかっ!姉ちゃん本気出すとめっちゃ怖いじゃないか⁉…あれ、これ日本語じゃん。 「いいか。我は野心の魔なる者、我の使命は憑りつく者の操作__だが、決して殺害などしない。では、また会おうではないか」 そう言うと、まぁやっぱり龍になった。古誇を使ったからああなってしまったのだ。…待って。それじゃあ、滅茶苦茶な悪口を言ったのもこの魔なのか___許せぬ‼‼ 「…ヤバいかも、敏明。急いで絆の神社に行くよ。あいつ…もしかしたら陽を倒しちゃうかもしれないから。急ぐよ!ほら!」 俺たちは、絆の神社へと向かった。