ないでぃるです 低クオです 恋愛要素はあります 短いです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ドアが閉まる 吐息と涙が地に堕ちる 手で顔を覆う 膝が崩れる 「…はは…」 奴露…菁…レイ… なぜだかわからないがあいつらは出ていった …あいつらは幸せになるだろうな …チリン シルクハットの金属が揺れた …はぁ…これももういらないな… 金属を掴み強く引っ張る ギリギリと音を立て紐が耐えている 一思いにちぎる 後ろから急いで走ってくる音が聞こえる 「ちょ、ちょっと…オリーブ…それは…奴露ちゃんに作ってもらったやつじゃ…?」 「…もう必要ないさ」 「…それって…」 「私がもう消えるからな」 「っ!?」 まっすぐ屋上に向かう 「ま、待って…!」 オリバーがその後をついてくる 彼が何やら言ってくるが聞こえない 屋上の端に立つ 後ろからオリバーが追いつく 「…止めようとしても無駄さ」 沈黙が流れる 「…君はどうしてそんなに我慢して…最後はこんな方法で逝ってしまうの…?」 「…っ…!?」 足が引っかかる 空に体が堕ちていく 目の前でオリバーが手を伸ばした なぜだか手を伸ばしてしまう しっかりと手と手が重なった ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あるだけの力で引き上げる …引き上げれた… ふとオリーブの方を見る 彼女は自分の手を見つめてる 「…戻ろう…オリーブ…一緒に」 「…ああ…」 元きた道を戻る 「…すまんな…オリバー」 「…生きてくれているならそれでいいよ」 上着を脱ぎソファーに腰を下ろす 何も言わずにオリーブもソファーに座る 「…はは…如何して逝かせてくれないんだ…?」 「君はここで逝ってしまうような人ではないんだ…」 「…どういうことだ…?」 「…仲間はまだ…僕がいるから」 「っ…」 「…僕は…君がいないと…」 言葉が詰まる ぽろりと涙が溢れでた 「…そうだな…私にはまだ仲間がいる」 撫でられた 「へ…?」 「…もうお前が幸せになるまで死なないと誓う」 「オリーブっ…」 でも結局は死んでしまう 嫌だ 泣き腫らした ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 夜になった いつもは騒がしい夜も今は静かだ 夜飯を終え風呂の準備をする 「…オリーブ…ちょっと話いい…?」 「…まあ…いいが」 「急で申し訳ないんだけど…僕と…つ…付き合ってくれませんか…?」 「…!?」 なぜか多少の幸福感が湧いてくる …だが 「…お前まで不幸にするわけにはいかん」 「…僕は君とさえいれれば不幸でもいいんですよ…君といる幸せの方が大きいので」 「…っ…!?」 「…そもそも…僕は君といる時に不幸なんて感じたことないけど」 「なんでこんな凶悪犯にっ……人だって殺した…数多くの人を不幸にしてきた私にそんな権利なんてないんだよ…!」 「…それなら僕もだよ」 「…どういうことだ…?」 「僕も君に助けられる前に…人を殺してるんだよ」 「…そう…だったのか…」 「うん…黙っててごめんね…君がそういう人が一番嫌いなのを知っていたから言わなかったんだけど…」 嫌悪感なんて湧いてこなかった ただ心の底から何かが幸せになりたいと叫んでいた 「…たい」 「…?」 何かが漏れる もう抑えきれない 心が、体が、自分の全てが皆口を揃えて幸せを望んでしまっている 幸せになってはいけないのに 幸せになりたい 「…君は…本当に不幸になりたいと願っているのかい…?」 心の中を見透かしたように彼が言う 限界だ 「…なりたくないさっ…!本当は不幸になんて…!…でも私は……私は…!」 「幸せになっちゃいけない…でしょ?」 「……っ…ぁ…」 膝から崩れ落ちる 知らぬ間に私は泣いていた 号泣とはこのようなことを言うのだろうなとなぜか考えてしまう 「…今はまだ不幸だとしても…絶対に幸せにして見せますから」 理由もなくオリバーに抱きつく 人とはこんなにも暖かかったのか 心が満たされていく気がした ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「…ありがとうな…オリバー」 「全然…大丈夫だよ」 あれから十数分は泣いていた まあ正直抱きついてくれたのが嬉しいかっ… いや今そのことは置いておかないと 「…そういえばさっきの答えだが…訂正させてはくれないか?」 「…それって…」 「…ああ…これからよろしく頼むぞ」 「…!」 あまりの嬉しさに飛び跳ねそうになる いや、数センチは飛んでいたのかもしれない 頬が緩む 「…こちらこそ…お願いします…!」 オリーブが腕を広げる そこに飛び込む 僕らは強く抱き合った 多幸感が心を埋め尽くしていった Fin.