低クオです ========================= ガラス製の自動扉から出る 買い物をしたばかりのビニール袋に水滴が堕ちた 地面にも幾つもの水滴が堕ちていた まるで自分の意思で地面に向かっているというように 「…雨か」 傘など使える身分にいない いくら濡れてもいつか乾く 放っておきゃいいだろう そんなことを思いながら進む またなぜか涙が出てくる すぐ流れを断ち切る これだから雨は嫌いだ だがそれを隠せるのもいいところではあるのだろうな もう全てが嫌になっている だが進まなくてはならない 「生きて」という言葉はいつまでも心にへばりついている だから生きる だから進む たとえ全てが嫌になっても いつか死ねることを願って ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ずっと景色が脳内の浮かび上がる あの人のことが頭から離れない いつも私の横で笑ってくれていた 私の親であり 思い人であった 創士さんのことが 景色を心にへばりつけながら仇を探す あの人の意思は私が継ぐ 仇という名の犯罪者に鉄槌を 少しずつバグが増え私の周りを覆っていった ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 道は続く 進む意志がなくてもどこまでも続いていく 生きている限り道は続いていく 時も動き続ける あの時絶たれた4つ時と道は今も止まったまま にもかかわらず俺の道は絶たれず続いている あいつらは何も悪くない 悪いのは俺 俺のせいであいつらは死んだ そう、俺のせいで 意識がそちらの方に倒れた時だった 黒き稲妻のような一撃が飛んできた ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「…ヒット」 ようやく出会えた 「…仇…討つからね…創士さん…」 次々と攻撃を繰り出す 痛みなんてものはもう慣れてしまった あの人を失った痛みに比べたら幾分もマシ 圧倒的な密度で攻撃を続けていった ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 捌くだけで精一杯 ここまで感情が乗った攻撃があっただろうか いや、一生涯出会ったことがない …だが 「…“対価の天秤”…対価:敵の攻撃…じょうsy」 天秤が弾かれた この攻撃は遠距離ではない どうやらなかなかにめんどくさい相手になりそうだ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 対価の天秤… 危ないところだった あれを使われたら負ける 運操作は今の状況ほとんど意味はない 天秤も片方回収済み 残るは投票、大小変更 だがこちらのバグは能力を喰う 対価の天秤の力を使いさらにこちらは強化される 強化内容は痛覚無効 これで躊躇なく攻撃できる ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 相手の多少の躊躇が全て消えた いよいよまずい …そうだ そこら辺に落ちている石を拾い奴に投げつける 大小変更を用いて石が岩になる だがそれでも速度は維持される 巨石が奴に向かって行く その後にすぐ続いた ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「っ…」 そんな使い方があったとは知らない バグで自分を突き飛ばし避ける 目の前に仇がいた だが無意味 私のバグは自動防御 しかも現在は痛覚もない だから完全なる防御ができた 奴を捕らえた 片手をバグで掴んだ すぐさま壁や床に叩き続け続ける 振動が伝わり続ける 無論運操作は吸った 奴に耐えれるはずがない ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 少しずつ何かが吸われて行く感覚がした時浮遊感を感じた 「運操作っ…!」 しかし何も起こらなかった 運が操作できない ようやくわかった 奴は能力を無効化している …いや無効化じゃない 吸収か ついているものを切ろうとしても切れない 身近に壁が迫ってきていた 「…大小変更」 壁を小さくしダメージをなくす 床は無理だった 受け身を取りダメージを最小にする それを繰り返した ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 意外と手応えが感じられない めんどくさくなり最大限上空に奴を持っていき離す 空中だと避けようはないだろう 私は攻撃を繰り出した ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 下から攻撃が飛んでくる だがこれの前では意味はない 「“投票の天秤”」 金の天秤の皿に乗せられる さあ反撃開始だ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 投票の天秤… 正直あまり驚異に思えない ここには奴と私の2人しかいない だから道連れが基本だ …でも バグを天秤に突き刺す 少しずつだが天秤が小さくなって行く このまま吸い尽くせる そう思った瞬間重力が強くなった 辺りを見回す よく見るとやつが天秤に手を当てている 真逆…!? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ここら辺でいい 元々この天秤は宙に浮いていた そこで大小変更をかける 「…あら不思議…一気に上空まで行けるってわけだ…ということで共に堕ちようぜ?」 天秤を消す その瞬間体が堕ち始める 「…“大小変更”」 先ほど小さくしポケットに放り込んだビニール袋を大きくしパラシュートにする 奴は墜ちるが俺は堕ちない 面倒ごとにならないうちに殺しておくべきだ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 堕ちて行く このままじゃ間違いなく死ぬ だからと言って対抗できるわけでもない 瞼を閉じる 水滴が空へ上がって行った ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 心が痛んだ これ以上罪を重ねていいのか…? 否 これ以上重ねるわけにはいかない たとえ殺されても良いことはしておくべきだ 「”大小変更“」 ビニールを小さくし墜ちる 「…見えた」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 風に身をまかす どうせ死ぬのなら最後は安らかにしておくべきだろう …嫌だ 「死にたくないよ…創士さん…」 そう叫んだ時だった 「…じゃあ生きろ」 多少投げやりのような声が聞こえた 瞼を上げる 「っ…!?ディール…!?」 よく周りを見ると落下する速度が遅くなっていた 「…ギリギリ間に合ってよかった」 「…何がですか…私は敵なんですよ…?」 「…もう人は殺したくねえ」 「…は…?」 あっけに取られた 確かにディールを追った者は全員生還している それの意味がわからなかったがそんな理由とは つい笑い声を漏らしてしまった …笑ったのは何日振りだっけな 軽く一ヶ月は超えるだろう …創士さん …私どうしたらいいのかな… 仇は討ちたい でも…この人は殺したくない …この人も私と同じ境遇だから 家族のような仲間全員が死んだ 私も家族が死んだ 「私…どうしたらいいのかな…」 「…俺が知ることじゃねえ…好きに生きろ、お前はまだ罪を犯してない」 「…そうですか…」 地面に降ろされた 「…別に殺したきゃ殺すといい」 そういいあの人は去っていった 「…もう殺すつもりはないのに」 私はあの人の能力を戻した そしてその場から離れた バグの量は少なくかなり表面は見えていた Fin
あんずつっよ