※作者は国語の成績低いです。期待するな ※順番的には使い方→メモとクレジットの順番です ※恐らく誤字脱字あるんでどうかご指摘を ※これ本名だけ聞いても誰かわからんな ====================================== 【MEMORY OF PREVIOUS LIFE】 第四節 - 雨崎薙香 / 氷室三秋 ====================================== 「三秋?」 懐かしい声が聞こえてきた。 声のする方へと俺は振り向く。 そこには俺が想像していたのと同じ奴がいた。 「...薙香。」 ====================================== 「いや~、奇遇だね...三秋と会うなんてね!」 「こっちはたまったもんじゃねえよ...なんでわざわざ隣町のショッピングモールに来てまでお前と遭遇しなくちゃならねえんだよ。」 「え~?何そのリアクション...この私に数年ぶりに出会えたことを光栄に思いなよ!」 「ア〜ハイハイコウエイコウエイウレシイ〜」 こういう会話も懐かしい。 俺と薙香は幼稚園の頃からずっと同じ学校で、中学 から高校に上がるときに別々の学校になった。 いわば幼馴染で、中学から高校に上がるときに連絡先も交換していたんだが最近は俺の方の不都合で全く会えていなかった...それどころか、メッセージのやり取りばっかりで電話なんかもしてなかった。 ただ...今の俺にこいつのこの能天気のようなテンションは少し元気をもらえるようで...救いだった。 「そういえば...春樹さんは元気か?」 春樹さん。 薙香の兄で...小学校時代とかは俺と薙香と春樹さんの三人でよく遊んでいた。 春樹さんは面倒見が良くて...優しい兄さんだった。 薙香もそんな兄さんが大好きなことも覚えている。 「うん、元気だよ...久しぶりに三秋に会いたいなって話してたよ...会いに来てあげてよ!」 「.......まあ、そうだな...機会があれば会いに行くわ。」 「というか...ずっと気になってたんだけどさ...」 薙香は俺の右頬を指さす。 「どうしたの、その湿布...大丈夫?」 「....ああ。」 俺は湿布を貼ってある右頬を撫でる。 「ちょっと転んだだけだよ...気にすんな。」 「そう?それにしてはなんか傷が大きい気がするけど...まあいいや。」 「おう。」 「そういえば...三秋は隣町のショッピングモールまで来て何を買いに来てたの?」 「カッターとか...後鉛筆と消しゴムもだよ...文房具なくなってきたからさ。お前は?」 「私はここの最近有名なアイス食べに来たんだよ...友達に進められてさ!三秋も食べたら?絶対美味しいよ!」 「あ~...別にいいわ...今金ないから。」 「ん...別にそんぐらい奢るよ?久しぶりに会えたんだしさ。」 「いや、いい...つーか今冬だろ...なんでこの寒い季節にアイス食う気になるんだよ。」 「わかってないねぇ...寒い冬に食べるアイスがいいんだよ!」 「な~に言ってんだか....」 そんな俺を横目に薙香はアイスを美味しそうに頬張る。 ====================================== 「そんじゃ~またね!三秋!」 「おう...これからもずっと元気でな。薙香。」 「...? うん...病気とかの話?大丈夫だよちゃんと予防接種とかも行ってるし!」 「そうかい...まあどっちにしろバカは風邪ひかないって言うし大丈夫だろうがな。」 「誰がバカだ」 「お前」 「失礼なこの前定期テストで全部赤点回避したんだぞ」 「あっそ...平均点は?」 「え?全部下回ってたけど何か問題でも?」 「問題しかねえだろ」 俺は腕時計を見る。 もうそろそろ電車が来る時間だ。 「そんじゃ...電車乗らねえといけねえから。じゃあな薙香。」 「うん...またね~!」 俺は電車に乗り込む。 乗り込んだ後すぐに電車のドアが閉まり、電車が進みだした。 窓の方を見ると、薙香がこっちに向かってホームから手をぶんぶんと振っているのが見えた。 それを見て、俺も窓から薙香が見えなくなるまで軽く手を振り返し続けた。 ====================================== 家に着いた。 親父は...今日もどっかに遊びに行ってんのか。 「おかえり、三秋...」 母さんが話しかけてきた。 「今日は遅かったね....もしかして久しぶりに学校に行ったのに何かあったの?大丈夫だった?」 「いや、学校帰りに少し買い物に行ってただけだよ...大丈夫。」 まあ...学校自体はいつも以上に散々だったけど。 「先に風呂入るよ...」 「そうなの?わかった...あったまってね。」 「うん....ありがとう。」 俺は学校が嫌いだ。 というよりも...学校の人間が嫌いだ。 偏差値が良い高校ではなかったから、あまり期待はしてなかったけど...まさかここまで酷いとは思っていなかった。 そして、その高校で何が悪かったのか...というか、こういうので標的にされる奴に理由はないんだろうが...俺は虐めの対象にされていた。 悪いが...脳みそにあの頃のことを思い出すのも嫌だ...虐められた詳細とかは紹介しねえからな。 先生も見て見ぬふりだ。 正味...嫌気がさして不登校気味になっていた。 だからと言って家にいると...酔っぱらった親父に蹴り飛ばされたり殴られたりばっかり。 母さんはいい人だけど、気弱だから親父に逆らえなくて...日に日に痣が増えてるのも見ていたくなかった。 親父も、昔からこんなんじゃなかった...俺が高校に入ってからあたりから急にこんな気性が荒くなって...「夜桜製薬」の薬がどうのこうのって頭おかしいことばっかり言い始めたんだ。 俺はそんな親父も嫌いだ。 ...そんな親父に逆らうこともしない母さんも...好きだけど、嫌いだ。 数日前から決めてたんだ...ずっと、今日にするって。 でも...必要な物を買いに行った先で、偶然薙香と遭遇して。 もう...今更、俺の行動を変える気は無いけどさ。 俺、久しぶりに薙香に会った気付いたけど...案外お前のその陽気さに救われてたんだなって。 「...手首だっけか、切るの...それで水につけるんだったか...風呂だし、お湯だけど...変わんねえよな。」 今日ショッピングモールで購入したカッターで手首を切る。 「いって...。」 まあ...これからもあいつらに殴られたり蹴られたりするよりましか。 躊躇はしなかった。 俺は手首を風呂の中に入れた。 この方法....結構時間がかかるらしいけど...どんなもんなんだろうな。 ====================================== 何十分経ったんだろうか。 意識がかなり遠のいてきた。 親父の叫び声が薄っすらと聞こえる。 帰ってきたのか...まあ、どうでもいいか。 ====================================== やばい。 ...タヒぬってこんな感じなのか。 案外、めっちゃ眠い時と変わらねえな...ボーってなって...今にも消えちまいそうで。 まあ...タヒぬことを永眠って言うもんな。 ああ...そういえば薙香のおすすめのアイス食ってねえな...どうせだし...最期に食べても良かったかもしんねえな。 ちょっともったいねえや。 そりゃ、俺がメンタル雑魚なだけだったのかもしんねえが...人間ってのはたかが一年間こんな目に合っただけでもうタヒのうってなるぐらいには脆いんだなって...ふと思った。 ...ああ。 何の雑音かと思ったら...今、外...雨降ってんのか。 聴力って五感の中で最期まで残るんだっけか...道理でもう目の前が黒いし何も感じねえのに音しか聞こえないわけだ。 雨の音も遠さがってきた。 ようやくか。 ...。 最期に、少しでも...薙香に会えてよかったよ。 【メモとクレジットに続く】
【↓使い方の続きです】 「え?」 朝一に父親から発せられた言葉。 眠気なんて溶けて原型もなくなるレベルの...脳みそへの熱い刺激を持つ言葉だった。 「三秋が自殺した」 その後に三秋のことについて色々と知った。 三秋が学校でいじめを受けていたこと。 三秋のお父さんが危ないことに関わってるかもしれないということ。 三秋が自殺を決断するほどまで追い込まれていたこと。 親も、春樹お兄ちゃんも...今日この日まで、三秋のお母さんから連絡をもらうまで知らなかったらしい。 本当にショックで...学校へは行ったけれど...脳みそに授業なんて何も入ってこなかったし...友達が話しかけてきてもぼーっとしてたせいで全然気づけなかった。 放課後に、冬だから外も大分暗くなって...そんな中を一人で歩いていた。 三秋...昨日会った時はそんな素振りなかったのに。 私に心配かけたくなくて隠してたのかな。 もしも私が気づけてて、止めてたら...三秋は今日も生きてたのかな。 涙がこみあげてくる。 なんで...自殺なんて。 「...バカ....。」 「薙香!」 自分の名前を突然呼ばれて、驚いて顔をあげた。 そこには春樹お兄ちゃんがいた。 ====================================== 「...三秋のことは残念だったな。」 「...うん。」 「気づいて...助けてあげれたら一番よかったのかもしれなかったけどさ...別に薙香が悪いわけじゃないよ...。」 「...そうかもだけど。」 「...三秋も、薙香が悲しむ顔は見たくないと思うよ...笑おう、とは言わないけどさ...悲しむばっかりじゃなくてせめて天国では幸せになってるように...二人で祈ってあげよう。」 幸せ...か。 「...そうだね...ごめん。」 私が三秋の幸せになれてたら...三秋はタヒなずにいてくれたんだろうか。 そんなことをちょっと考えながら...お兄ちゃんと一緒に家までの道を歩いていた。 「薙香。」 急に、お兄ちゃんが真剣な顔つきになって、私の前に横から手を突き出して言う。 「え...何?」 「...。」 お兄ちゃんは前を見て動かない。 その表情は、恐怖のような...焦りのような。 私はお兄ちゃんの視線を追う。 誰かいる。 大柄な男の人だというのはすぐに気づいた。 顔に何かしらの入れ墨を入れているのも。 そして...血の付着した斧を持っているのにも。 「逃げるぞ!!!」 お兄ちゃんは叫ぶ。 私は反対方向へと走り出し、お兄ちゃんも私についてくるように走り出した。 (何...何!?誰!?なんで...血のついた斧なんて...!?) 涙が逆に引っ込むほどに...私は動転して、恐怖を覚えていた。 そして、多分...お兄ちゃんも。 周囲なんて見ずに、必タヒに走って逃げていたから...曲がり道を曲がった時に気付いた。 知らぬ間に二人して路地裏に迷い込んでいた上に...行き止まりだということに。 「...嘘....。」 後ろから足音が聞こえる。 恐怖心に抗いながら...私たちは後ろを振り向いた。 わかってはいた、けど...あの斧を持った男がいた。 「....。」 男は私たちを無言で見つめる。 「な...」 お兄ちゃんが口を開きく。 「なんだ、お前は...それに...その血のついた斧はなんだ...!?」 「...。」 男がお兄ちゃんを数秒間見つめ、そして口を開く。 「俺はセルカルーパ・ケル...これでわかんだろ。」 「セルカルーパ...!?」 お兄ちゃんが余計驚いた表情をする。 「お、お兄ちゃん...セルカルーパって...?」 「...連続無差別殺人犯...指名手配犯だよ...!!」 「え...。」 なんで...そんな奴が...ここに。 「...無差別...か...不本意だな。」 セルカルーパは私達をにらむ。 その瞬間、感じたのは...まるで猛獣や毒蛇に睨まれているような...そんな威圧感と恐怖。 三秋のことを一瞬、忘れてしまうほどに...私は恐怖に陥った。 「俺は、な...カスみてぇなタヒんだ方がましな"駄目な奴ら"しか殺してねぇんだよ。」 セルカルーパは言う。 「俺は....本心から思うことがある...」 私たちをより強い目線でにらみつける。 「人間っつーのは...窮地で出る言葉っつーもんが...そいつの全てを現してるんだと。」 「立場とか年齢とか関係ねえ...そいつの本心を暴き...そして俺は判断する..."こいつは"駄目な奴"かどうか"...を。」 セルカルーパは一歩私たちへと近づく。 「お前たちは...どうなんだろうな?」 斧をこちらに向け...そしてセルカルーパは低い声で私たちへのメッセージを送る。 「どっちか片方は殺して、どっちか片方だけ助けてやるよ...生き残ったほうは警察に通報するなり家に逃げ込むなり好きにしろ。」 言っていることの理解ができなかった。 「な...何を言って__ 「解かった」 春樹お兄ちゃんが口を開く。 「お...お兄ちゃん...!?」 「どっちか片方しか生き残れないんだよな...なら答えはわかりきってる。」 嫌な予感がした。 春樹お兄ちゃんは優しいから...まさか私を生かすために自分が犠牲になるんじゃないかと。 「ま、待って...お兄ちゃん...私の代わ__ 「妹を差し出す...だから...俺は助けてくれ。」 セルカルーパの発言以上に...お兄ちゃんが発した言葉を... 私は理解できなかった。 「...え?」 「...。」 「そうか...わかった。」 セルカルーパは道の端による。 「お前は行け...兄の方。」 「...春樹....お兄ちゃん....?」 「...。」 春樹は...私の方を向いた。 その顔は...いつもの優しい春樹からは想像もつかないほどの...冷たい表情だった。 信じられなかった...同時に...恐怖も覚えた。 ああ... お兄ちゃんってこんな人だったのか。 「悪いな...薙香...。」 春樹は路地裏の出口へと走り出した。 (...ぁあ、私...ここで....タヒ.... それは私が諦めを決心するよりも早かった。 セルカルーパは...横を駆け抜けようとする春樹の首を斧で斬り飛ばした。 それは突然だった。 春樹の胴が道に倒れる。 「...え?」 セルカルーパは塵を見るような目で春樹の遺体を見て...私の方へと視線を移し、路地裏の外を顎で指した。 「行け...俺が殺すと言ったのはお前らのどっちかだけだ。」 何もわからなかった。 声も出せずに...セルカルーパに言われた通り、ただただ明かりがある方へ走るしかなかった。 なんで? 何が起こってるの...? 三秋も...春樹も...タヒんじゃって...それに...!! 春樹に関しては...私の...ことを..... 春樹の冷たい表情が脳裏に思い浮かぶ。 何もわからない。 (...助けてよ...三秋....) (なんで....タヒんじゃったの...三秋...!!) 涙があふれて...こぼれない様に目を瞑って...どこに向かってるのかもわからずに走り続けた。 急に大きな...車のクラクションが真横で鳴った。 私は大通りの赤信号の中にいることに気付いた。 大きなトラックの二つのライトが私の泣き顔を強く照らした。 ====================================== 「レイン!」 聞きなれた声が聞こえる。 その声の主の顔を見るために俺は振り向く。 そこにはいつも見慣れた顔があった。 「...アイシクル。」 一切そう思っていないわけではないだろう。 いくら一度タヒんだとはいえ性格はそこまで変わる物ではない...互いに少しはあいつと似てるな、などと思ったこともあるのだろう。 だが...彼らは生前、互いに関わりがあったことをまだ知らない。 ====================================== forward No.7 レイン・リカード forward No.10 アイシクル・ルーベル 前世では「雨崎薙香」「氷室三秋」という名前であり、また互いに人間と言う物が窮地に立った時に行う行動と言う物を認知しているため、人と言う物を知る過程で必要だと判断。 よって、forwardが掲げている目標に必要なメンバーと判断して抜粋。 ====================================== 「....。」 薄暗い部屋で彼は自身の右頬を触る。 その頬には、赤い線のタトゥーが刻まれていた。 とある組織への加入を意味するそのタトゥー。 彼はそれを指でなぞりながらつぶやいた。 「...落ち着け...俺。」 必要なことなんだ...これは。 あいつら...forwardを守るために...必要な。 もう俺は...後戻りはできないんだ。 【第四節 - 雨崎薙香 / 氷室三秋 終】 ======================================